この秋もいろんな人気作で湧いた日本のドラマ。中でも目立ったのが、男性キャラクターの人気です。

『恋です!』(日本テレビ系)の黒川森生(杉野遥亮)。『婚姻届に判を捺しただけですが』(TBS系)の百瀬柊(坂口健太郎)。『SUPER RICH』(フジテレビ系)の春野優(赤楚衛二)。ちょっと並べてみると、ある共通点に気がつきます。それは、いずれも思わず「可愛い」と言いたくなるキャラクターであること。今や「可愛い」は愛され男子の必須条件となっています。

「ハンオシ」百瀬に「恋です」森生…今、“愛でる系男子”が求められる理由_img0
前期朝ドラ「おかえりモネ」の菅波先生、10月期ドラマ「婚姻届に判を捺しただけですが」(TBS)の百瀬柊と当たり役が続き、2021年は再ブレイクの年となった坂口健太郎。(写真は2019年当時)。写真:Pasya/アフロ


今は「カッコいい」男性にも「可愛い」と言う時代


もちろん昔から「可愛い」男性は芸能界には多くいました。ですが、「可愛い」と親しまれるのは、たとえば小池徹平さんや瀬戸康史さん、千葉雄大さんといったベビーフェイス系の男性が中心。長身だったり、年齢が30歳以上の男性に対して、「可愛い」と言うのは、どこか失礼にあたるという向きがありました。

 

実際、男性の俳優さんの中には「可愛い」と呼ばれることに抵抗がある人が多かった気がします。どちらかと言うと「カッコいい」と呼ばれる方を好み、なんならば積極的に「可愛い」から脱却できるよう、ヒゲを生やしたり、筋肉を増やしたり、自ら「男らしさ」を付加する努力をする人も少なくありませんでした。

たとえば、1990年代に人気を博した男性俳優といえば、木村拓哉さんに豊川悦司さん、反町隆史さんや竹野内豊さん。今でこそ、それぞれとぼけた愛らしさも見せるようになりましたが、90年代当時、彼らに対し「可愛い」と盛り上がる空気はそれほど強くなかったはず。

上に挙げた杉野遥亮さんや坂口健太郎さんはいずれも身長180cm超でスタイル抜群。赤楚衛二さんも身長178cmと決して小柄ではないですし、骨格や顔の輪郭は男性的と言っていいでしょう。20年前なら、間違いなく「可愛い」と言われるタイプではありませんでした。それが、今や「可愛い」の大合唱。もちろんみなさん「カッコいい」方たちではあるのですが、あえて言うなら「カッコいい」以上に「可愛い」ところが人気の要因になっていると感じます。

 

 
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