「自分たちが親世代より豊かになれる可能性は低い」、そう考える10代の若者が増える現代。子どもたちが将来お金に困らないために、親世代は何をすればいいのでしょうか。なるべく多くの資産を残してあげる。それもひとつの方法ですが、ビジネスコンサルタントの山崎将志さんは「“普通の子”がお金に困らない一生を送るためのほぼ唯一の手段が投資であり、株や会社の仕組みを10代から学ぶこと」が大切だと言います。
山崎さんの著書『父さんが子供たちに7時間で教える株とお金儲けの教養。』は、父が10代の息子2人に「お金持ちの正体」や「投資の仕組み」について対話形式で教える一冊。子ども目線の素朴なギモンにも答えてくれる本書から、「誰もが知っている身近なお店」から考える株の話をご紹介します!
【登場人物】
父:サラリーマンを経て、現在は会社経営者。投資歴20年目。株ではいろいろと痛い目にもあった。
竹二:高校2年生の次男。
梅三:中学3年生の三男。
株式市場は過去に興味がない
父:ここでは買った株をいつ売るべきかという話をしたいと思う。それにあたって、俺が買っておけばよかったと後悔している銘柄二つを紹介する。まあ、他にもたくさんそういう銘柄あるんだけど、マジで自分の先見の明のなさに腹が立ってるのがこの2社。
竹二:どこ?
父:一つはニトリ。もう一つはアークランドサービスホールディングス。
竹二:アークランド何とかって?
父:俺らがしょっちゅう行ってる「かつや」を運営している会社。
梅三:かつやか! うまいよね、カツ丼。
父:まずニトリから。過去10年の株価推移を見てみよう。
梅三:何倍になってるの?
竹二:いまが2万円くらいでしょ。10年前は、2012年末の終値が3165円。ってことは……。
梅三:7倍弱だね。
父:いまニトリの店は日本全国どこに行ってもあるし、都内にもたくさんある。テレビでもしょっちゅう特集が組まれるほど、株式市場にも我々庶民にも人気企業。10年前って言うと竹二が7歳で梅三が5歳の頃。その頃から既にニトリの店はたくさんあって、いいなと思ってたんだけど、株は買わなかった。
竹二:え、何でよ?
父:正直、ニトリのことをよく理解していなかった。だけどこの10年で店舗をさらに増やして、商品の新陳代謝を進めて、ラインナップを増やした。その結果お客さんが増えて、お客さんが買う商品が増えた。そして利益が増えた。何しろ34年連続増収増益だ。もちろん株価は上がった。
いままで上がってきたからこれからも上がる……?
梅三:だったらいまからでも買えばいいじゃない。
父:それが今回のポイント。いまから買うとしたら、どういう理由で買うの?
梅三:これからも上がるから。
父:何でこれからも上がると思うの?
梅三:だってこれまでずっと上がってきたから。
父:それは典型的な株で失敗する人の発想。株価はその会社が将来生み出す利益予測で決まる。
だとすれば利益の予想をしないといけない。それにはこれから店が増えるか、商品が増えるか、客単価が増えるか、客数が増えるかを予想して、利益がいくらになるか、そうすると株価が何年後にいくらになるかが試算できる。そして、その株価になるはずだと考えて株を買うのが、教科書的なやり方。
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