ミモレで過去に公開された記事のうち、特にこの時季に人気があったものをご紹介します。よろしければぜひご一読ください。

縁起物のおせち料理には「少しでも手作りのものを加えたい」と思っていても、気が付けば今年もあと何日……。いつもそんな思いで年末を迎えていた人も多かったかと思います。けれど、今年の年末はステイホームになりそう。そんな時こそ、おせち料理に挑戦してみてはいかがでしょう? 今回は料理家・本田明子さんの『娘に伝えたいおせち料理と季節のごちそう』から、八幡巻きをご紹介します。

名前はごぼうの産地として知られていた京都・八幡村から。今回は豚肉を使いましたが、牛肉でも。しゃぶしゃぶ用の肉が巻きやすいです。肉に味があるので、ごぼうはゆでるだけにして、素朴な風味を味わいます。ごぼうが太ければ縦二つか四つ切りにしてから巻いてみてください。ごぼうの断面が扇形でおめでたい感じに。野菜の切り方でお正月らしさを出すのも楽しい工夫です。

「一つでもいい、自分の食べたいものをつくってみてください。無理はせず、毎年作れそうなものを増やしていってもらえれば」とは本田さん。普段の食卓にも合う料理です。一度作ってみてはいかがでしょうか?

 


ごぼうを肉で巻いた、八幡巻き

 

肉をきれいに並べて巻くのが、美しい断面になる秘訣。

 材料(作りやすい分量)


豚薄切り肉または牛薄切り肉……300g
ごぼう……1本(約150g)
サラダ油……小さじ1
A|水……カップ1/2
 |砂糖……大さじ1
 |しょうゆ……大さじ2
 |みりん……大さじ2
 |酒……大さじ2

 作り方 

1.ごぼうは皮を包丁の峰でこそげて洗い、15㎝長さに切る。鍋に入れ、ひたひたの水を加えてやわらかくなるまで10~20分ゆでる。水けをきり、冷ます。

2.肉の1/4量(3~4枚)を少しずつずらして広げ、ごぼうの1/4量を手前に置いてきっちりと巻く(写真イ)。最後に手でぎゅっと握ってなじませる。同様にして4本作る。

 

3.フライパンにサラダ油を熱し、2.の巻き終わりを下にして並べ入れ(写真ロ)、中火で焼く。ときどきフライパンをゆすり、肉の色が変わって鍋底から離れるようになったら、転がしながら全体を焼く。

 

4.いったん火を止めてAを加え、再び火をつけて強めの中火で煮からめる(写真ハ)。ときどき煮汁をかける(写真ニ)。

 
 

5.粗熱が取れたら煮汁ごと保存容器に入れ、冷めたら冷蔵庫に入れる。詰めるときは重箱の高さに合わせて切る。

『娘に伝えたいおせち料理と季節のごちそう』シリーズ(全3回)
第1回 一度は挑戦したい「黒豆」を美しく煮るコツ【ステイホームで手作りおせち】
第2回 ミキサーで簡単「伊達巻き」の作り方【ステイホームで手作りおせち】
第3回 【ステイホームで手作りおせち】普段のおかずにもぴったり「八幡巻き」の作り方
 

『娘に伝えたいおせち料理と季節のごちそう』
著者 本田 明子

近頃では、なかなか母から娘へ伝えられることもなくなってしまった「三段重の正統派おせち」を、「母料理」の第一人者・本田明子先生が、現代のお台所事情にあわせて改めて作りやすく解説。一度きちんとつくってみたかった「正統派のおせち料理」から、お重すら持っていないけど、お皿に盛るだけでおせち気分を味わいたいときに作る「五品おせち」、余ってしまったおせち材料で作る甘味やバリエーションレシピまで、気分で選べる、おせち料理レシピを徹底解説。ほか、冬から春の季節行事の料理もたっぷり紹介。家庭行事料理の基本をすべて使い勝手良く一冊にまとめました。

本田 明子(ほんだあきこ)

料理研究家。1962年生まれ。20歳の時に料理研究家・小林カツ代氏に弟子入り。「小林カツ代キッチンスタジオ」に25年間在籍。多数の料理本のレシピ製作責任者として腕をふるう。2007年独立。現在は「本田明子キッチンオフィス」を主宰。小林カツ代氏の親しみやすく、家庭料理として極められた味を正統に継承しつつ、大らかで明るい人柄そのままの「本田流おふくろの味」で人気。NHK「きょうの料理」などテレビ出演、雑誌・書籍など幅広く活躍中。

写真/石澤真実
この記事は2020年12月21日に配信したものです。
mi-molletで人気があったため再掲載しております。