2021年も間もなく暮れようとしています。オリンピック・パラリンピックの開催、政界では首相の交代、総選挙もありました。
気候変動による影響でしょうか、豪雨による被害も頻発しました。しかし私たちの生活に最も重くのしかかっていたのは、前年から続く新型コロナウイルスによるあらゆる分野への影響でした。
その影響は、皇室にも及びました。
国民との直接の触れ合いができず「オンライン行幸啓」が常態になってきました。国民がその行く末を気にした秋篠宮家長女眞子内親王殿下の結婚が異例な形でおこなわれ、愛子さまの成年式もこれまでとは異なった形式でおこなわれたり、皇室も社会や時代の変化に合わせた対応を迫られた1年だったかもしれません。
皇室を長く担当している毎日新聞客員編集委員の大久保和夫さんに、2021年の皇室を振り返ってもらいます。今回は国民の関心も高かった、眞子内親王殿下の結婚を中心とした皇嗣家についてです。
眞子さんの結婚
眞子内親王は10月26日に、大学時代に知り合った小室圭さんと結婚して皇室を離れ、小室眞子さんになりました。そして、11月14日に渡米しました。
皇室の結婚で必ずおこなわれてきた儀式を一切おこなわず、皇籍離脱に伴って支給される1億数千万円の一時金も受け取らなかったこと、また、結婚当日の記者会見では質疑応答はおこなわれず、眞子さんと小室さんの説明と報道陣から事前に出されていた質問に対する回答文ですませるなど、異例づくめでした。
儀式なしの結婚についての秋篠宮さまのお気持ち
こうした状況下、11月30日の秋篠宮さまの誕生日に際しての記者会見は、国民の注目が集まりました。20分間の予定だった会見は、1時間にわたって行われました。
秋篠宮さまは、以前から眞子さんの結婚関連の儀式を行うには「多くの人が納得し、喜んでくれる状態」が必要とお考えでした。
小室家側は、金銭トラブルを抱えており、秋篠宮さまは、このことについて国民にもキチンと説明すべきだと考えていたようです。
これを受けて4月に小室さんは、金銭トラブルを巡るこれまでの経緯などを記した文書を公表しました。しかし、秋篠宮さまは、この文書について、
……私の個人の考えとして、あれを読んでみんながすぐに状況を整理して納得できるというものではないと私は判断しました。そのことから、三つの行事(編集部注:「納采の儀」「告期の儀」「入第の儀」を指す)を行わないことにしました。
と述べられました。
大久保さんは言います。
「結婚を認めた以上、儀式はやるべきだったと思います。多くの人が、十二単(ひとえ)やドレスを着た眞子さんを見たかったことでしょう。
皇室は、冠婚葬祭に関しては、一般とは異なる独特の様式を伝統として保持してきました。その様式の違いこそ、国民が皇室のことを特別の存在として視覚的に意識することの源泉の一つになっていると思っています。
昔から続く儀式を行い、普通の人と違う生活をしていることも皇室が国民の敬愛の対象になっている要因の一つではないかと思います。その最たるものが皇室のさまざまな儀式です」
秋篠宮さま自身も、会見の中で苦しい胸の内を語られています。
……しかし、それを行わなかったそのことによって皇室の行事、そういう儀式というものが非常に軽いものだという印象を与えたということが考えられます。
結婚後の眞子さんと小室さんの記者会見で質疑応答が行われなかったことにも、秋篠宮さまは言及されています。
……私自身は一方向のものではなくて双方向での会見という形にしてほしかったと思います。ただ、長女の複雑性PTSDということもあり、直前まではそのつもりで本人もいたのですけれども、会見している間に何か発作とか起きることも考えられるでしょうから、やはり難しかったのかなと思います。
大久保さんは「秋篠宮さまが、熟慮に熟慮を重ね、悩みに悩んだ上で儀式なしの結論に至ったのでしょう」と国民の受け止めを考慮しつつ皇室の伝統の重さも勘案した上での苦渋の選択だったと見ています。
【幼い姉妹が愛らしく……秋篠宮家のアルバム】
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1 写真/JMPA 2 写真/JMPA/光文社
3〜12 写真/宮内庁提供 13 写真/JMPA・講談社
14 写真/ JMPA・文藝春秋 15 写真/JMPA・主婦と生活社
16 写真/ JMPA・小学館 17 写真/ JMPA・主婦と生活社
18 写真/JMPA/小学館 19 写真/宮内庁提供
20〜28 写真/JMPA
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