「決してスローライフを送りたいわけではない」“鎌倉+箱根”の二拠点生活がくれた刺激と挑戦_img0
 

平日は鎌倉、週末は箱根で過ごし、親子3人で近距離の二拠点生活を満喫している狩野真実さん。前回はそのきっかけについて伺いましたが、実際はどのような暮らしを送っているのでしょうか。

 

DIYもアウトドアも、二拠点も成り行き?

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友人に庭の整備作業を手伝ってもらうことも。

「自然豊かな鎌倉と箱根の二拠点なんて言うと、アウトドア好きの人だと思われることが多いんですけど、もともと全然興味がなくて(笑)。キャンプだって、学生時代にフジロックでテントに泊まったのが最後かもしれません。今は家の修復も自分たちでやっていますが、DIYも特にしたかったわけではないんです。ただ、買った家を少し綺麗にしたいけど、二拠点先に予算もかけられないから自分でやるかって。やり始めたら結構楽しいじゃないですか。庭には老木がたくさん生えていて、先日そのうちの1本が病気で死んでしまったんですね。当たり前のことなのに、木って生きてるんだって思ったり。

“新たな視点を持ちたい”という夫のひと言がきっかけで、いわば成り行きで二拠点生活が始まりましたが、結果的にいろいろなことが起きるので、それによって新しい発見があるんですよね。偶然のいろいろなものを楽しむというか、そういう要素があるのは楽しいですね」

週末には多くの友人たちが訪れ、毎回何かしらのテーマを設けて過ごします。ある時は箱根ビジターセンターの方にお願いして鳥の巣箱作りの出張ワークショップを開いたり、ある時は庭で焚き火飯を楽しんだり。個人の別荘というよりは、身近な人たちが自由に使える遊び場&イベントスペースを作っているという感覚が強く、泊まりで来る仲間たちからは共益費をカンパしてもらっています。

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「格安で古家付きの土地を手に入れたので初期費用は安く済みましたが、管理費などのランニングコストはやっぱりかかってしまいますよね。カンパ制にしたことで友人たちも気楽に来れるということで、毎月のように来る友人も何人かいます。都会からの距離もちょうど良く、森と温泉という環境は鎌倉とはまた違う良さで、何にも代えがたいものがありますよね」

自宅は温泉付きということで、さぞかしみんなに喜ばれるのでは? と尋ねると「今は引かずに様子見しているんです」との答え。何でも自宅に温泉を引くには約250万円もの温泉権利金がかかり、さらに月に数万円のランニングコストも必要なのだとか。権利金のうち9割は解約時に返還されますが、今は温泉ムードたっぷりのお風呂と近場の立ち寄り温泉(あるいは日帰り温泉など)で満足しているそう。

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場を持って初めて新たな視点が得られた


「箱根の家は標高700mぐらいの山の上に位置するので、歩いて気軽にどこかへ行くことはできませんし、普段の日常生活の中で出会う人はほぼいません。だけどそれは街に住み続けていたら考えられなかったこと。鎌倉では、偶然誰かと会って立ち話をすることは日常茶飯事ですが、それができない生活もあるということを知ったことで、夫の言う“新たな視点”が得られました」

職業柄、イベントの企画などにも携わる狩野さんは、そんな暮らしがあるということを体験した今、当たり前だと思っていたことがが当たり前ではなかったと実感しています。

「イベントをやるにしても、箱根の場合は山を越えなくてはいけないので、お酒を出す催しができない地域があるんだとか。そういういろいろな見方ができるようになったのは面白いですね。でもそれも場を持って初めて知ることです。たとえば箱根は鎌倉の自宅よりもさらに湿度が高く、夏は思ったよりジメッとして天気も悪いからベストシーズンは秋なのかもしれないとか。そういう“暮らす”という選択をしたことで知ることは、これからもっといろいろ出てくるんだと思います。

それから正直、鎌倉で地域のコミュニティとつながりがあるから箱根で過ごす時間がいいのであって、箱根がベースになってしまうと少し寂しいかなと。遊び場としては最高だけど、暮らす場としては今は違うかなと思っています」

 
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