カフェを経営しながら、70代でモデルとして活躍、書籍『マダム・チェリーの「人生が楽しくなるおしゃれ」』も評判に。そんな、今を輝きながら生きているマダム・チェリーにも、実は苦しかった時代がありました。40代、体の不調と夫の関係に悩むマダムを支えてくれたかけがえのない人や、50代での転機のことを伺いました。

 


更年期に苦しんだ40代、結婚生活にも変化が


おしゃれの迷路に迷い込み、心身の不調にも悩まされ、閉じこもりがちだった40代。チェリーさんの心にさらに深く影を落としていたのは、夫との関係でした。

神戸のモデル事務所に所属して東京と行ったり来たりしていた頃、ひと目見た瞬間、雷に打たれたように恋に落ちたその人と、24歳で結婚。モデルをきっぱりと辞め、東京へと移り住みました。
「豊島園近くの家で新婚生活を始めました。好きなものだけに囲まれたシンプルな暮らしでね。彼は本当にセンスのいい人だったわ」

海外に出かけることも多く、そのたびにチェリーさんや娘に素敵なおみやげを携えて帰って来たといいます。エルメスのスカーフ、カルロス ファルチのバッグ、日本では手に入らない服や小物……思い出は数知れず。

 

「本当に好きで、好きで。私が幸せでいられるのは、あなたと一緒になれたから。心からそう思ったわ。今でもそうよ。だって、彼と一緒にならなかったら私の人生はもっとつまらないものだったと思うの。でも彼は自由人だったから……。女性の影もよく感じたし、家庭に縛ることはできなかったのね」
40代も終盤にさしかかる頃、チェリーさんは夫との結婚生活に終止符を打ちます。

「別れたけれど、しょっちゅう会っていたわ。旅行に行ったり、食事をしたり。完全に生活を別にするようになってから、私は彼を理解できたように思うんです。向こうもきっと同じ気持ちだったと思うの。会うとお互いにやさしくなれる。私と彼は、そういう距離感がよかったのね。娘にも『あのパパがよく結婚したわね』って言われるわ(笑)」