カフェを経営しながら、70代でモデルとして活躍、書籍『マダム・チェリーの「人生が楽しくなるおしゃれ」』も評判に。そんな、今を輝きながら生きているマダム・チェリーにも、実は苦しかった時代がありました。40代で訪れたおしゃれと体の更年期をマダムはどう乗り越えたのか、人生の先輩として教えていただきました。

 


こんなはずじゃなかった。鏡の前に茫然と立ち尽くす日々


40代を振り返り、「一番だらしない時代だったわ」チェリーさんは、そう表情を曇らせます。
「迷ってばかり……。でも、私にとっては大事な時期だったと、今は思うことができます」

40代を前に、チェリーさんは縁あって東京・西麻布のカフェ「ドゥリエール」のスタッフとしてケーキを焼いたり、レシピを考案したりする仕事を始めました。「ドゥリエール」といえばミルクレープで名を馳せ、おしゃれな大人が集う隠れ家的なカフェとして一時代を築いた名店です。

 

「シフォンケーキから始めていろいろなケーキを作ったけれど、最終的に残ったのはシフォンとミルクレープだったわね。オープンカフェもまだ珍しかったし、オーナーが有名な音楽プロデューサーだったから業界の人たちにも人気でね。たちまち評判の店になりました。あの頃の経験や培った人脈があったから、50代も半ばを過ぎて、いきなり自分のカフェを始めようなんていう無謀な夢に踏み出すことができたのだと思います」

子育てに、やりがいのある仕事に。傍から見れば充実した日々。
「でもね、自分が好きではなかったの」

チェリーさんを自己嫌悪に陥らせたのは、何より大好きなおしゃれへの戸惑いでした。
「洋服もヘアスタイルもメイクも、それまでやってきたことが一切似合わなくなって、鏡の前で『こんなはずじゃなかった』って、がっかりする毎日。買い物に行けば、ショーウィンドウに映るオバサンの姿が自分だと気づいて愕然。一番大きかったのは、体型が変わってきたことね。何を着ても決まらなくて、どうしていいかわからないまま足踏み状態で過ごしていました」