人と人が繋がる新しい空間の誕生
私にとって大きな転機となったのは、サカキラボに入社してちょうど4年が経過した頃。
丸の内から神保町にオフィスを移転することが決まりました。すると社長が突然「移転先のオフィスに大きなキッチンを作ろうと思う。それをどういう風に使うか、みんなで考えて」と言いだしたんです。
オフィスのスペースでもある210平米もの空間に、巨大なキッチンが作られることになり、そこからそのキッチンをどうやって使っていくのか、皆で夜な夜な話し合う時期がずっと続きました。
そんな矢先、ワインのインポーターさんからワインのイベントを開きたいという相談を受けました。ナチュラルワインと一緒に、料理研究家の植松良枝さんのお料理を楽しむという企画だったので、キッチンのある大きな空間というのがぴったりだったんです。
関係者だけの内輪のイベントでしたが、そのときに可能性を強く感じて。「そうか、キッチンを貸し出せばいいんだ」と気づき、コンタクト先として「ラボ&キッチン」というウェブサイトを立ち上げました。ここでも私の得意な“発信”をしていくことになったんです。
そこから、ラボ&キッチンを通して様々な取り組みに挑戦していきました。単なるキッチンではなく、“人と人が繋がる場所”という新しい概念の空間でした。
著名人もたびたび来てくれたし、料理教室をやってみたり、パーティーやお祭り的なイベントをやってみたり、物販もやりました。某デザイン家電メーカーのプレス向けの商品発表会の場所として貸し出したこともあります。
固定概念に囚われず、キッチンでできるあらゆることを試していきました。私も一緒になって何ができるのかを考えて、企画していくのが本当に楽しかったです。
次第に口コミでそのキッチンの存在が広まっていき、気づけば絶えずに人が集まる空間になっていて。巷では「どうして常にあんなに集客できるんだろう?」と話題になっていました。
ここでもまた、テレビ(BSフジ)の取材を受けることにもなりましたし、私たちが実際働くオフィスでもあったので、雑誌『新建築』でオフィスとして紹介されたこともあります。
現在はビルを建て替えることになってしまい、オフィスが再び移転したことで残念ながらその空間はなくなってしまいましたが、約6年の間に、このキッチンで400︎回にも及ぶイベントや企画が催されました。
そして、ラボ&キッチンの仕事を経験したことが、私自身に大きな影響を与えました。
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