インスタは名刺代わり!編集者からみた売れっ子ライターの秘訣


――実際に新しいライターさんにお仕事を発注するときは、どうやって決めていますか?

バタやん:ミモレ編集部も「書ける人」はつねに探しています。自分が好きで読んでいる媒体がライターを募集しているかチェックしたり、募集していなくても、自分の記事リンクや得意分野、自己紹介などをnoteなどにまとめて、媒体にメールで送ってみるのも手だと思います。そのとき「なんでも書きます!」というよりも「このジャンルが得意です」「書きたいです」とやりたいジャンルが明確なほうが記憶に残りやすいですね。

WEBメディアでは「撮って書ける人」が有利。料理、ファッション、美容、旅なんかも。写真が得意な人はそれもアピールするとチャンスが広がります。ライターのお仕事用に名刺がわりのインスタアカウントを作ってみてはどうでしょうか。すでにウェブに記事が掲載されている人はリンクツリーにまとめてもいいですね。商品見本を並べるようなイメージです。

さとゆみ:あれ、私インスタ放置してるなあ(笑)。私の場合は、自分のホームページにポートフォリオをまとめています。川端さんのおっしゃる通り、ライターって企画の持ち込みがとても大切。私も、一本仕事をさせてもらったら、二本企画を置いてくることを意識しています。


プロとしてのdisコメントとの付き合い方


――晴れてライターとして仕事を始めて、やがて突き当たる問題のひとつがdisコメント(書いたものへのネガティブなコメント)との付き合い方。全員が自由に意見を書き込める時代に、ライターとして健全な向き合い方とはどのようなものでしょうか?

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さとゆみ:私、たまにファンレターとかいただくこともあるんですけれど、褒めていただくコメント以上に、Twitterなどのdisコメントを真剣に読んでいます。学びがあるものも多くて、向上できるチャンスですよね。

 

バタやん:編集者としては、攻撃の矛先が著者やライターになってしまうのは避けたいので、誰かを傷つけたり不快な思いをさせたりする言い方になってないか、注意深く原稿をチェックします。それでもいろいろなご意見があり、disコメントを完全に防ぐのは難しい。発信者の心を守りながら、真っ当なご指摘はきちんと取り入れていけたらいいですよね。もちろん、ネガティブコメント回避が最優先ではないので、そこの線引きが難しいですが。

さとゆみ:そう、意見としてのdisコメントはありがたく読ませていただいて、参考にします。とくに注意しなくてはいけないのは、「そんなつもりで書いたんじゃないのに」という誤読が生まれているとき。なぜ誤読を生んでしまったのか、私はとことん考えます。誤読されるのは文章がわかりづらいから。よって「誤読されない文章」を徹底的に考えています。文章の前後の因果関係がわかるように接続詞をきちんと入れたりね。意見を弱めるという方法ではなく、とにかく真意が伝わるように工夫します。

バタやん:disコメントを全部無視するわけでも、ただただ落ち込む必要もなくて、うまく因数分解して学ぶべきところを吸い上げたいですよね。

――disコメントだけではなく、職業ライターとしてやっていくうえで、たとえば報酬の交渉、赤字への対処法、スケジュール管理など悩むことがあると思います。ライター仲間のつながりがあれば、相談することができそうですね。

さとゆみ:そうです。だからこそ、この仕事はそういう環境に飛び込んで仲間を作りながら、まず書き始めてみることがおすすめ。その中で自分に向いている仕事の仕方や種類がわかっていくし、それに合わせて自在に書き方や媒体を変えていくことだってできます。私はライターという仕事は一生を懸けることができる、奥深い仕事だと思っています。まずは一歩を踏みだしてみてはいかがでしょうか。きっと楽しいですよ!

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「好きを伝え、つなぎ、つながる」をキャッチフレーズに、〔ミモレ編集室〕メンバーの一人一人がこれまでに培ってきた美意識や好きなこと、最近気になっていることなどを自由にシェアし、つながる場です。毎月の「編集・ライティング講座」では、各界で活躍するプロフェッショナルの方をお招きしたゲスト講義やバタやんのWEB文章術をお届けしています。文章添削や課題のフィードバックも。ネットでの発信力を上げたい、文章を書くのが上手くなりたいという方はぜひ〔ミモレ編集室〕で一緒に学びませんか。メンバーになると、これまでの講義のアーカイブ動画や記事もご覧いただけます。

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佐藤友美(さとゆみ)
ライター/コラムニスト 
テレビ制作会社勤務を経て、ライターに転向。日本初のヘアライ ターとして、ベストセラーとなった『女の運命は髪で変わる』(サン マーク出版)をはじめ、数々の著作を上梓。美容業界や一般読者か ら人気の存在として、テレビやラジオにも多数出演している。 ビジネス書、実用書、自己啓発書などの執筆・構成を手掛ける書籍 ライターとしても活躍の場を広げ、約50冊の書籍の執筆に関わっている。「生まれてはじめて1冊読み切った」と読者から感想が続々届く「わかりやすい文章」を書くライターとして知られる。近年はコラムニスト/エッセイストとして、『ママはキミと一緒にオトナになる』(小学館「kufura」)、『ドラマな日常、日常にドラマ』(東洋経済オンライン)、『本という贅沢。』(朝日新聞社「telling,」)、 『さとゆみの「ドラマな女たち」ヘア&メイクcheck』(講談社「mi-mollet」)、『大人のヘア問題、白黒つけます』(扶桑社「ESSE online」)、『歳を迎え討つ』(大和書房)などの連載を持つ。宣伝会議主催の「編集・ライター養成講座」では長年講師をつとめ、近年は「さとゆみライター講座」として専任講座も持ち、その赤裸々 で超実用的な講義が人気を博している。https://satoyumi.com/

川端里恵(バタやん)
「ミモレ」編集次長・ブランドマネージャー。1979年生まれ。身長151cm。2002年講談社入社後、広告部、「with」「VOCE」「FRaU」、デジタル部、雑誌マーケティング部、新雑誌研究部など、女性誌のWEBサイトリニューアル、新雑誌創刊なども経験し、現「ミモレ」編集部へ。〔ミモレ編集室〕では、WEBライティング講座の講師を担当。Podcastにて本紹介のラジオ「真夜中の読書会〜おしゃべりな図書室」も毎週配信中。
インスタグラム:@batayomu ツイッター:@batayan_mi

 

取材・文/佐野倫子
構成/川端理恵

 

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