『愛の不時着』の大ヒットに端を発した今回の韓ドラブーム。「一過性のブームではなく、本物だと確信し、『韓国ドラマ=イケメン&恋愛』の偏見から解き放つことが私の使命」と語るのは、20年以上韓国カルチャーを追っかけてきた映画ライター/コラムニストの渥美志保さん。この度、新著『大人もハマる!韓国ドラマ 推しの50本』を上梓しました。

社会派サスペンスから、アクション、歴史スペクタクルなどどれを観てもハズレなしの名作揃いの韓国ドラマから、渥美志保さん激推しのドラマ4作品をご紹介! もう観た方も、観ようか迷っていた方も、果てしなく深い“沼”の世界へどうぞ……!

理不尽な男社会vs.女の闘いにしない『ミスティ〜愛の真実〜』が描く、本当の敵とは_img0
『ミスティ〜愛の真実〜』©Jcontentree corp.all right reserved.


フェミニズムの色合いを帯びた韓国ドラマが増加中


セクハラ発言で炎上した日本の政治家などオジサンたちが「褒めたのに」「愛情表現だ」「冗談だった」とか言っているのを聞くと、さすがジェンダーギャップ指数が先進国ダントツでビリの国! と妙な納得をしてしまいます。

 

『82年生まれ、キム・ジヨン』以降、韓国は「#MeTooの国」という印象がありますが、実際は日本の121位に対して韓国108位。同じくらいとは言えないがものすごく進んでいるとも言いがたいのですが、たとえば「国政選挙の比例区では奇数順位は女性」というように、制度を整えることで現実と意識をリードしており、10年もすれば日本は周回遅れになるでしょう。

そういう状況下で、フェミニズムの色合いを帯びたドラマも増加しているわけだが、中でもバリバリの超エリート女性を主人公にした作品が『ミスティ 愛の真実』です。

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『ミスティ〜愛の真実〜』©Jcontentree corp.all right reserved.

主人公ヘラン(キム・ナムジュ、『棚ぼたのあなた』)は大手テレビ局の人気キャスターで、美しさと優秀さ、そして豪腕な女王ぶりと土壇場の勝負師ぶりで知られる人物。

アンカーを務める看板番組「ニュース9」は7年目で世代交代が囁かれていますが、それもある大スター――突如全米トッププロに躍り出た謎の韓国系ゴルファー、ケビン・リー(コ・ジュン、『熱血司祭』)の独占取材を実現、ギリギリで逆転ホームランをかっとばします。しかしその1か月後、ケビンが不審な事故死を遂げ、ヘランは重要参考人になってしまうのです。実はかつて無名だったころの二人は、夫婦同然の恋人どうしでした。

 
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