20歳の骨折と80歳の骨折は違う
高齢者における「歩けない」という問題を通すと、高齢者の疾病や社会的なニーズの複雑性が理解できます。
例えば、20歳の人が「歩けない」という理由で病院を受診したとします。その多くはケガによる「捻挫」や「骨折」といったものである可能性が高いと思います。また、歩けなくなった理由は単一のものであることがほとんどだと思います。
そのような場合、「再び歩けるようにするためにはどうすれば良いか」と言えば、その原因を修復すれば良いというシンプルな考え方になります。
「足の骨折」が原因であれば、骨折の手術をして、リハビリをすれば、また元通り歩けるようになる確率が高いでしょう。もちろん、病気によっては回復が難しいものもあるのですが、有効な治療があれば、元通りに回復する可能性が高いと思います。
一方、膝や目にも病気を持つ80歳の人の場合には、そのようにはならないかもしれません。
まず、同様に「足の骨折」で入院となった場合を考えてみましょう。この場合にも、「足の骨折の手術をすればすぐに歩ける」と患者さん自身もご家族も思われているケースが多いのですが、残念ながらそうはいかない可能性も考えておかなくてはいけません。
なぜなのでしょうか。その答えは、骨折に至った背景を考えると見えてきます。
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