新型コロナウイルスが流行り始めた2020年3月、まさに世間が自粛モード一色になろうとしていたそのタイミングで、軽井沢に拠点を移したフードディレクターの川上ミホさん。ミモレでもお馴染みの彼女は、アートディレクターの夫と娘さんの3人で、軽井沢と東京の二拠点生活を満喫しています。
ツルヤのおかげで快適さが増した軽井沢生活
前回の記事で紹介したように、娘さんの幼稚園入園をきっかけに、軽井沢生活をスタートさせた川上さん。「スーパーのツルヤがなかったら、軽井沢でこれほど快適に暮らせていなかったかも(笑)」と笑いながら話す彼女は、移住先である軽井沢の良さのひとつに食のクオリティの高さがあると断言します。
「地方にはもちろんその土地ごとに美味しい野菜があるけれど、軽井沢は別荘族が多いので、別荘の人の好みを汲み取るようなエッジの効いたお店もたくさんあるんですよね。たとえば東京で暮らしていたら、デパートまで行かないと手に入らないようなお肉が普通に地元の小さいお肉屋さんにあったり。塊の大きい肉や骨つき肉、ツルヤなんてシャトーブリアンがパックで売ってるんですよ。魚も日本海側からも太平洋側からも来ているし、長野は山梨に負けず劣らずフルーツ王国だから、今の時期なんてりんごがものすごいことになっていて」
川上さんのお気に入りは、前述のツルヤと道の駅的存在の発地市庭(ほっちいちば)。もう1つ、農家のお母さんたちがやっている直売所にもよく立ち寄るそう。そこには庭で採れたようなものがたくさん売っていて、地元ならではの食べ方を教えてくれるのだとか。さらに軽井沢から車で30分ほどの佐久にはオーガニックのファームがたくさんあって、そこで野菜を分けてもらうことも。「野菜の買い方にも選択肢がたくさんあって、軽井沢ならではのところもあって楽しいんです」と川上さんは話します。
フードディレクターという職業柄、ますます料理に熱が入るのでは? と尋ねると「いやいや、その逆です。料理は楽になって、何も考えずにとりあえず美味しい塩を振って焼いておけば美味しく食べられる、みたいな。これまでは作りたい料理があってそれに必要な材料を揃えるのが先でしたが、今は食材が先にあるというか。私はもともとこだわった料理を作るのも苦ではないタイプですが、そういう発想になって考え方が変わりました」と川上さん。
移住によって変化したのは料理だけでなく、最近では野鳥の会に入会したり、狩猟の講習会にも行くなど、精力的に活動しています。
「野鳥の会って、双眼鏡でバードウォッチングをしたり、可愛い鳥の写真を望遠レンズで撮るようなイメージが強かったんですが、調べてみたらいろいろと共感できることが多くて。年齢のせいかもしれないけれど、興味が湧いてきたんですよね。狩猟に関しては、猟師になりたいというわけじゃなくて、昔働いていたレストランがジビエを扱っている店だったので、鹿肉や兎肉、イノシシが身近にあって。でも現場でどんなことを経て店に届けられているのかを知らなかったから、いい機会だと思って勉強することにしました」
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