ライターさかいもゆるがアラフォー以上で結婚したカップルへのインタビューを通じて、結婚とは、夫婦とは何かを考えます。今回は、バツイチ38歳で韓国語スクールで出会った韓国人男性と再婚をはたした楓さんに、壮絶だった最初の結婚生活についてお話を伺いました。
出会って2ヵ月で、経済力に惹かれてバツイチの総合病院の院長と結婚した、医師の楓さん。入籍直前に息子がいることを明かされたのですが、5歳の息子は夫にまったく懐いていなかったそうです。
楓さん:息子のBくんは生まれてすぐにお母さんが離婚して家を出て行ったので、母親の記憶がないんです。最初はずっと泣きそうな表情で私の顔色を伺っていたのですが、馴れてくるにつれて、「本当は僕、お弁当でこういうのが食べたかったの」と言ったりして、私に甘えてくるようになりました。
実は夫のAさんはお酒を飲むと人格が豹変し、息子に暴力を振るうDV夫。楓さんはよく知り合う間もなく結婚したため、それに気づけなかったのです。さらに変わった性癖の持ち主で、夜は変態プレイを楓さんに強要。
楓さん:逃げたくても、エステのクリニックをたたんで夫の医院で開業した私には逃げ道がありませんでした。おまけに、同業者である私の母まで、前の病院を辞めさせて親子で彼の病院で働いていたので……。
いわば母娘で人質に取られたような格好で、地獄のような結婚生活が続きました。もしかしたらAさんははじめから、楓さんならば自分から逃げ出さないと見越した上でこのような形で結婚生活を始めたのかもしれません。日頃性善説で生きていると、このような悪意を持った悪人が存在するなんてなかなか想像もつきませんが、世の中には彼のような楓さん曰く「サイコパス」もいるのですね。
楓さん:ええ。一見優しい人が実はサイコパスだったりするんだと学んだので、今ではそういうタイプはすぐにわかるようになりました。そういう人って常にニコニコ笑っているけど、目の奥が笑ってないんです。そして人の欲しい言葉がわかって、それを言ってくれるから、みんな夢中になるんですよね。元夫もそうでした。いつも笑顔で見た目は爽やかな人たらし。だけど飲むと人が変わったように凶暴になるんです。
毎日、義理の息子を守るため、夫がお酒を飲み始めたら部屋に行くように促し、息をひそめるようにして過ごしていたそう。そんなストレスで、楓さんはみるみるうちにやせ細り、ある日自殺未遂を起こします。意識が遠のく前に、無意識のうちに父親の携帯に無言電話をかけていたことから、父親が異変に気付き、車で群馬から神奈川まで駆けつけて来たそう。
楓さん:一命はとりとめたのですが、父が夫に連絡したときの夫の対応から何かを察したのか、そのまま父の家に連れて行かれました。「何があったかは知らないが、こんなところには置いておけない」と言われて。
その後、楓さんは父親の元で療養しながら夫に離婚を申し入れたのですが、夫は受け入れずに裁判を起こし、結局、離婚が成立するまで6年間も裁判が続いたのです。
さかい:大変でしたね……。
楓さん:その間、彼の息子が私に会いたくて、まだ小さいのにひとりで新幹線で会いに来たんです。そうしたら今度は夫に誘拐罪で訴えられたりして、本当に泥沼でしたね。だけどいちばん辛かったのは、息子のことです。一応役所に、夫が暴力を振るっていることは伝えました。だから行政の力で助けられていればいいのですが……。
結婚している間に、ここに書けないくらいの大変な目に遭った楓さんですが、30代半ばでようやく離婚が成立。そこからは、「もう恋愛はいいや」と思っていました。
楓さん:人間の汚い面もいっぱい見て来たし、男性を心から信じられなくなっていたんです。母の介護も始まり、このまま介護をしながら生きていこうと覚悟をしていました。
そんなときにハマったのが、某人気K-POPグループ。中でもXというメンバーに夢中になり、好きが高じて、「YouTube動画のハングル字幕が読めるようになりたい!」と韓国語スクールに通い始めたのが、38歳のとき。これが転機となって、楓さんはX似の韓国人男性と出会うのですが、長くなったのでそのお話は次回に続きます!
構成/川端里恵(編集部)
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