お仕事帰りに同僚と。大切な家族や友人と。
心からおつかれさまと伝えたい日のレストランを厳選してご紹介します。
イキのいい若手料理人の中華にワクワクする。
今、個性も勢いもある、日本人の若手シェフが続々登場。新たな時代に突入しているのが、中国料理。今回はグルメエリアに昨年誕生した2軒を。
◆和食の機微を感じさせる荒木町の話題店。 の弥七(ノヤシチ) 四谷三丁目
器のことに触れると、店主の山本眞也さん、料理を褒められるよりうれしそうだ。まったく、カウンター奥の棚ときたら、和食器がずらりと並び、割烹のごとし。山本さんは、上海で1年半、名店『桃の木』で6年近く修業を積んだ、れっきとした中国料理人。が、1年の、たった1日のためだけに使う器がある。そんな和食の機微、季節感が大好きで、大胆にもそれを取り入れた中華を始めたのだ。
ジャンは使わず、辛みのつけ方も清湯の取り方も独自だという料理は、どれも器に見合った淡く、繊細な味つけ。が、けんちん地を詰めた魚の蒸し物も、白味噌仕立ての柚子釜も、ちゃんと中華のおいしさが感じられるから、脱帽だ。
◆人カウンターが楽しい四川ベースの新星 虞妃 (ユイ フェイ) 代々木上原
昼夜問わずの売れっ子は、真っ赤な汁にそそられる担々麺。辛い。辛いが、かん水を使わない喉越しのいい麺が、締めでもスルスルと入り、後味がすこぶる爽やか。実は、あえて芝麻醬をサラッと仕上げ、酸辣湯にならないギリギリまで、酢の酸味を効かせているのだ。長く、広いカウンターでひとり鍋を振るのは、四川の名店﹃芝蘭﹄グループ出身で、本場でも1年間勉強したという佐藤剛さん。担々麺など、定番料理に虞妃流を覗かせるのはもちろん、本場にはない辛いフカヒレ煮込みを作るなど、四川に縛られることなく自由自在。懐も深い。カウンターの利点を活かし、味付けやメニューにない皿など相談すると、なお楽しい。
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