好きを仕事にしなくていい。誰かのために働く「利他的キャリア」のすすめ_img0
 

「あなたは何のために働いていますか」……こんなふうに質問されたら、あなたはどのように答えますか?

パーソル総合研究所が昨年実施した「働く10000人の就業・成長定点調査」(※1)によれば、「仕事内容を選ぶうえで重視することは何ですか?」との質問に対し、「やりがいを感じられること」と答えた人の割合が32.5%で最も多く、次いで「自分のやりたい仕事であること」が30.6%、「自分の能力や個性が生かせること」が21.9%と続きました。

 

一方で、30代〜40代の女性と話していると、

「自分のやりたいことがよくわからない」

という声をよく聞きます。

確かに40代は「中年の危機」(ミドルエイジ・クライシス)とも呼ばれ、キャリア発達上、非常にチャレンジングな時期でもあります。

20代〜30代のころと比べると、仕事を通じた成長実感が得づらくなってしまったり、組織内での昇進・昇格の可能性などもある程度わかってきてしまい、行き詰まりのような感覚を持ってしまう人も少なくありません。また育児や両親の介護、自身や家族の病気などが重なってくる時期でもあります。

しかし、自分のこれからのキャリアについて考えるときに、一度ぜひ見つめ直していただきたいのです。「自分のやりたいこと=自分の好きなこと」、「“好きを仕事に”が一番」……。そんな思考が強く働いてしまってはいないでしょうか?

以前、ある40代の女性とお話をしていたときのことです。その女性は言いました。

「私ってやりたいことが何もなくて……。でも最近わかってきたことがあるんです。『やりたいことがある人を支えたい』、それが私のやりたいことなんだって」

「素晴らしいじゃないですか! それも確かに『○○さんのやりたいこと』ですよ!」と私は言いました。

やりたいこと、と言ったときに、「自分自身が」「自分のために」実現したいこと、自分の能力を「自分のために」活かせること、という意味で表現している人が多いように感じます。

もちろん、それは素晴らしいことです。でも自分のキャリアの発達を考えた時にはそれがすべてではありません。先ほどの女性のように周囲の人を支えたり、誰かが困っていることを解決するために行動したり……。言ってみれば「利他的キャリア」も本人のやりがいや充実感に繋がると私は思います。

 
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