「利他的キャリア」私の場合。人とのご縁や流れに身を任せていたら今の仕事につながった_img0
 

前回のこちらの連載で「利他的キャリア」について書かせていただいたところ、複数の方から「共感した」「勇気づけられた」とコメントをいただきました。自分の「やりたいこと」を実現したり、能力を発揮するためだけでなく、周囲の人を支えたり、誰かが困っていることを解決するために行動してもいい、ということを「利他的キャリア」としてご紹介しました。

また先日、この連載の担当編集さんとお話ししていたら、「田中さんのキャリアも利他的ですね」と言っていただいて、うれしかったと同時に驚きました。私自身にはまったくそんなつもりはなかったからです。「周囲の女性たちが幸せになったらいいな」という動機や使命感はもちろんありましたが、そのときどきの出会いや気づきに身を任せていたら、「いつのまにか今にいたっていた」という側面の方が大きい気がします。

「田中さんはどうして起業したのですか?」。こんな質問をいただくことがあります。私が共同創業者とともに会社をつくったのは2013年のこと。「女性たちがいきいき働き続けられる社会にしたい」と思ったからでした。

 

ライフとキャリアの両立に悩む女性を支援したかった


会社員時代、私は働く女性向けの雑誌で編集記者をしていました。毎日のように働く女性を取材する日々。事務職の女性もいれば、専門職、営業やマーケティング、人事などの職種の人もいましたし、職場でのポジションも新入社員から管理職、経営者まで……。

さまざまな女性を取材しましたが、「ライフとキャリアの両立ができない」「短時間勤務を選ぶと責任のある仕事をまかせてもらえない、評価されない」と悩む声が少なくありませんでした。

当時は「働き方改革」という言葉が生まれる前。リモートワーク可能な仕事は非常にめずらしく、責任のある仕事をしたいと思ったら長時間労働やオフィスに常駐するのが当たり前でした。そんな環境の中で、育児や介護などで時間的制約を受けがちな女性が、ライフとキャリアの両立に悩むことが多かったのです。

私は女性がいきいきと働き続けることを直接的に支援したいと考えて、11年勤めた会社を退職。フリーランスのライター・キャリアカウンセラーとして働き始めました。