「繰り上げ合格」の希望


もうひとつ、これから念頭に置いておくべき後半の動きが「繰り上げ合格」です。

「1日の第一志望が不合格となり、2日に合格をいただいた学校への進学を決め、入学金を振込んで手続きを完了しました。ところが4日、連絡先として登録していた母親の携帯に連絡が。なんと1日の学校からの繰り上げ合格のお知らせでした。親子で抱き合って喜びました」(2021年中学受験保護者)

繰り上げ合格の連絡は、通常合格発表後の数日間に、電話で連絡が来ることが多いようです。

「1日の学校を辞退する人がいるの?」という疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、2日以降に、熱望校で自宅にも近い神奈川の聖光学院に合格した、3日の男子最高峰・筑波大学附属駒場中に合格した、もともと合格を勲章と考えて関西からの遠征受験だった、などの理由で「御三家」の開成・麻布・武蔵でさえも数人~数十人の辞退者が出ます。

特に、合格が勲章としての意味合いもある1日校のトップ・開成には、遠征組や筑波大学附属駒場中との重複合格も多いため、意外に辞退者がいるという話も。

するといわゆる「玉突き」で、他の学校にも繰り上げ合格の連鎖が波及していきます。

【2022年中学受験事情②】「熱望校不合格」からが本番!第一志望合格は3人に1人…?_img0
 

各学校は、基本的に繰り上げ合格候補者には連絡がつくまで電話をしてくれるようです。繰り上げ候補者をあらかじめ合格発表時に告知する学校もありますが、多くは不合格となった受験生のなかから得点の高い順に連絡があります。

連絡は、遅い場合には2月中旬になることもあり、これはほとんどの学校で2月10日前後に入学予定者の説明会において最終意思確認が行われるため。繰り上げの連絡はそのあたりまで可能性があるようです。

受験期後半は、携帯の連絡にすぐ出られるようにしておくと安心ですね。

 


どのような結果になったとしても、中学受験は決して「ゴール」ではありません。

そこで味わった喜びも、苦労も、悲しみも、すべては大切な将来への糧にすることができます。努力したことは何一つ損なわれることなく、この先の人生で本人を支え続けるでしょう。熱望校進学は叶いませんでしたが、中学受験をしてよかったと感じ、今では進学した学校が大好きな筆者が「証人」です。

ベストを尽くしたと思えれば、それはもう充分に親子の偉業。悔いなく走り抜けるよう、心からエールを送ります。
 

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【2022年中学受験事情②】「熱望校不合格」からが本番!第一志望合格は3人に1人…?_img1

『天現寺ウォーズ』 同録『御三家ウォーズ』著者/佐野倫子
解説/おおたとしまさ

東京の知られざる小学校・中学校受験のリアルを知ることができる、スパイシーエンタメ受験小説。
 

 


構成/山本理沙

 


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