移住者と地元住民との壁
周りには、地元に戻って農家民泊をやったり、モノづくりをしている移住者も多いそうですが、どうしても移住者は移住者だけで集まりがちだとか。地元の農家の方たちと一緒にイベントをやることが多いMioさんは、地元の人に「お互い関わり合えるようにした方がいいんじゃないか」と言われるそうですが、「ある程度隔たりがあるのは仕方がないことでは」と言います。
「移住者はそれまで都会で生きてきて、求めているものや志が一緒なのですぐに分かり合えて打ち解けられますよね。でも地元の人はもともとそこにいるわけだから、どうしても移住者とは価値を感じるものが違ってしまう。私は山や川が好きでしょっちゅう犬を連れて行きますが、地元の人には“山なんて行くところじゃないよ、何してるの(笑)”と言われます。でも逆に飯田の景色をインスタにアップしていると、地元の子から“いつも行っている綺麗な川ってどこですか?”と聞かれることがあって。住んでいる人たちは、灯台下暗しじゃないですけどわざわざ探さないですよね。考え方がそこで二分化しているので、分かり合えないと言えば分かり合えないのかなと。でもそういう考え方の違いを見ていると面白いですよ」
移住して良かったことは「尊敬できる人たちに出会えたこと」
移住を経て、物事をじっくり考えるようになったというMioさん。最後に今後の展望を聞いてみました。
「実は移住した目的の1つに村を作りたいというのがあったんです。過疎化した村を盛り上げたいのではなく、一から作りたくて。都会でできないことって何かなって考えたら、そういうことかなと。たとえば日本には学校に行けない子たちの受け皿が少ないので、面白い教育ができる人たちとつながったら何かできるんじゃないかとか。
移住によって、これまでの生活では考えられないほど多くの尊敬できる人たちと出会うことができました。山を開拓して村を作っている親子や森を保育園にした施設を作っているような方ともつながることができたので、さらにそういう人たちとつながって、コミュニティを広げていきたいなと思っています。私なんて気付いたのが遅かったなと思うぐらい、もっと早くからいろいろなことをやっている人たちがたくさんいて、これからどうなっていくのかわかりませんが、フワフワと探している最中です」
次回は新潟にUターンしたデザイナー夫婦の話をお届けします。
取材・文・構成/井手朋子
前回記事「コロナを機に未開の地・南信州への移住を決めたシングルマザー」>>
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