パラダイムシフトの今、「美の価値観」を刷新し続けてきた美容ジャーナリスト齋藤 薫さんが、注目したいある視点をピックアップします。

資生堂150年周年、テレビCMが私たちに訴えかけることーーその60秒には、なぜこれほどこみ上げるものがあるのか?_img0
©️資生堂


まるでオムニバス映画のような濃密な1分間
 

画面がモノクロに変わると、そこには明治時代と日本髪の石田ゆり子さん。でも次の瞬間、カラフルな世界へと一変し、モダンなショートヘアでスポーツカーを駆る安藤サクラさんの姿。2人の対照的な女性は100年以上の時を超えて、まるでお互いを見つめ合っているかのよう。だからそこに仄見えるのは、お互いの美しさへのリスペクト……。

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©️資生堂

そう、人の美しさはそうやって、人から人へと丁寧に継承されてきたのです。憧れと温もりとともに。

 

資生堂の創立150年周年を伝えるTVCMを見たでしょうか。150年前から、まるで1つの風物詩のように、様々な時代の日本を美しく彩ってきた女性たちの姿が、一瞬一瞬の表情を捉えているに過ぎないのに、まるで一編のオムニバス映画のように濃密に綴られている60秒。
それを初めて見たとき、私は不覚にも泣きそうになりました。この明朗快活な映像が、なぜそこまでこみ上げるものを宿すのでしょう? 

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先のお二人に加え、広瀬すずさん、小松奈々さん、長澤まさみさん、池田イライザさん、そして、前田美波里さんに、近藤華さんと、登場人物はみな、キラキラと煌めくような笑顔。そして、かつて資生堂のプロモーションに使われた心弾むような楽曲の「君のひとみは10000ボルト、地上に降りた最後の天使」というフレーズを、一人一人が口ずさむのは、一点の曇りもない喜びに溢れています。

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しかし、最後に、「美しさとは、人の幸せを願うこと」というナレーション……。
 

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