不合格がまるで嘘のよう? 子どもの素晴らしき順応性
「憧れ続けた息子の第一志望は開成。そこに通いたいと、その一念で頑張り続けた3年半でした。しかし、番号はありませんでした。
模試の判定は決して悪くなかったのに……。親が諦めきれず、繰り上がり合格の知らせを密かに待ち続けました。教材を片付けても涙があふれました。それでも、息子の前では決して泣かないと決め、毎日を必死にやり過ごす日々でしたね。
そして1年経った今、息子も私も、現在通っている学校が大好きです。第3志望という位置づけでしたが、今では通うのが運命だったのかな、なんて思っています」(2021年受験生保護者)
合格した学校に進学してみると、「なぜあんなに落胆していたのかわからないほど楽しくなった」という話は、とてもよく耳にするエピソードです。
特に子どもは4月から、いずれにせよ新しい環境に飛び込むことになります。やがて友人ができて楽しくなり、不合格で落ち込んでいたのが嘘のように順応します。そういう意味で、意識的に切り替える必要があるのは、むしろ自身の環境が変わらない保護者の方かもしれません。
どの中学校も、努力を積み重ねて入学してきた生徒を温かく迎えてくれます。なかには「うちの生徒は超難関校を落ちてきた生徒もたくさんいます。しかしその経験さえも共有できる仲間がいる。教師も彼らが学校生活を楽しめるように全力でサポートしますから、心配はいりません。もし不本意な結果だったと思う方も、そのまま飛び込んできてください」と説明会でおっしゃる校長も。
渦中にいると忘れてしまいがちですが、中学受験とは、人生の中ではひとつの通過点。
中高の6年間をどこで過ごすかは重要ではありますが、それで運命が決まってしまうなどということはありません。そもそも受験の目的を考えてみましょう。
中学受験の勉強を通して学力をつけたい
充実した環境で多感な中高生時代を過ごしたい
大学受験に向けて確かな学力をつけたい
仲間と切磋琢磨して、将来の夢を見つけたい
部活に打ち込みたい
生涯の友と呼べる仲間を作りたい
などであったはずです。そこに立ち返れば、どこの学校に進学したとしても勝負はここから。「失敗」などというものはなく、手にしたのは確かな学力と、目標に向かって努力したという自信。春からの生活を思い描き、楽しみに過ごすだけで今は充分です。
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