舞台やドラマでも活躍、大貫勇輔さんの転機「僕はダンサーだから、と言い訳にしている自分に気付かされた」_img2

©︎le mec/講談社 撮影/KOHEY KANNO

では、辿り着きたい理想のダンスとは?

「誰かに求められることを満たすダンスです。それは自分自身が自分の中で探求する表現の場合もありますし、役として踊るのとダンサーとして踊るのとでも違います。それぞれのシーンに応じて、見てくださる方を満たすことができるスタイルを追い求めていきたいですし、求められることは僕の喜び。求められる場所があり、そこで表現できることを本当に嬉しく思います」

その後、23歳で出演したミュージカル『ロミオ&ジュリエット』を機に、芸能界へ。踊りに加え、歌や芝居もあるミュージカルの世界に魅せられました。

「ずっとダンスをやってきたので、最初はミュージカルで突然歌い、話し出すことの意味がわからなかったんです。でも、関わってみて初めて、踊りだけでは、観客をこれだけ感動させられないと体感したんですよね。歌があるから、芝居があるからこそ生まれる感動があるんです」

 

しかし、歌や台詞が不可欠なミュージカルに対する自らの姿勢を、改めて正す機会があったそう。それが、5年前に出演した『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』でした。ビリー役にキャスティングされた少年たちが懸命に練習している姿が、ミュージカル俳優としての大貫さんの意識を変えました。

「ビリーは11歳の少年ですが、歌、ダンス、タップ、アクロバットと、あらゆることができなければいけない役です。最初はどれもできない子もいました。その状態からどんどん成長していく彼らを見て、『僕はちゃんと努力をしてきていなかったのでは?』と気づかされたんです。『僕はダンサーだから』とどこか言い訳していたんですよね。歌や芝居への向き合い方を変えてもらったという意味において、『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』は、僕のキャリアのスタートと言える大切な作品です」

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