温かな言葉に癒やされると話題の産婦人科医、高尾美穂先生の新刊『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)が、5月27日に発売となりました。新刊から、女性の体や心の悩みに安心と解決法を与えてくれるお話をひとつご紹介します。
自分が固定観念という色メガネ、
かけていませんか?
誰でもさまざまな物事に固定観念を持っているものですが、産婦人科という仕事柄、よく感じるのが、男性と女性についての固定観念です。
たとえば、男性は古来、狩りをする生き物で、外で働く役割。
女性は子供を育てて家庭を守っていく役割。
これは、ホルモンと関係づけられていて、男性はテストステロンという攻撃性や闘争心を高める男性ホルモンが多いから外で働く役割が合っていて、女性は子供を産み育てるための女性ホルモンや、愛情を司るオキシトシンなどのホルモンが多いから家庭を守る役割が合っている、というように考えられてきました。
「男性=外で働く」「女性=家庭を守る」は固定観念に過ぎない
ただ、過去の歴史を紐解くと、ペルーで見つかった9000年前の遺骨や埋葬品を調べたところ女性の狩猟者がいたことが明らかになりました。それを受け、米大陸で発掘された同時代の墓の調査結果を見直してみたら、狩猟者の3〜5割は女性だった可能性があるという報告があります。
動物を狩る狩猟者は男性で、女性は木の実などを集める採集者としての役割を担っていたと言われてきましたが、その通説とは大きく異なる結果が出たのです。
そう考えると、男性はテストステロンが多いから外で働いて、女性は女性ホルモンや愛情ホルモンが多いから家庭にいるのにふさわしいということは、あくまでも私たちの固定観念に過ぎません。
つまり、この役割が完全にふさわしいとは言い切れないのです。
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