ドラマ『二月の勝者』で世間的にも脚光を浴びた中学校受験ですが、さらに小学校入試も注目を浴びています。2022年度の小学校入試で、いわゆる難関校といわれる早慶合格者を120名以上出し注目されている『スイング幼児教室』。そのスイング幼児教室の大原英子先生が監修した、子どもの成長記録に役立つ『知育手帳』(2022年4月始まり)がこのたび発売されました。そこで今回、大原先生が子育て中のすべての親に伝えたいという「横ではなく縦で褒める」子育ての方法についてお話を伺いました。

 

赤ちゃんの頃は我が子の日々の成長を喜んでいたのに、いつしか「○○ちゃんは絵が上手くてすごいわね。〇〇ちゃんより上手くなるように頑張ろう」というように、つい他の誰かと比べて評価をしてしまっていることはありませんか。

 

特に幼稚園や保育園などの集団生活が始まると、どうしても他の子と比較してしまうことも多くなるでしょう。例えば、他の子が本を一人で読んでいる姿を見て、自分の子がまだ字が読めないということに焦り、急いでひらがなドリルを買って子どもにやらせたり、ママ友から「〇〇くんはボール投げが上手ね。うちの子なんて全然できないのよ」と言われて嬉しくなったり……。他の子と比べて、できること、できないことに一喜一憂してしまいがちです。

もちろん目標を持って取り組むことは大事です。しかし「他の人よりできたら褒める、できなければ叱る」といった評価をしてしまう場合は、目標を持って成長しようとしている子どもにとって全く意味をなさないばかりでなく、子どもを無意味に他者と争い続けさせることになってしまいます。

子育ては「横ではなく縦で褒める」ということが大事です。

「縦で褒める」ということは、他者と比べるのではなく、その子が以前よりも成長したところやその努力の過程を褒める、ということです。子ども自身の日々の成長を見逃さず、もし昨日できなかったことが今日できたとしたら、いっぱい褒めてあげましょう。小さなことでも、「よく頑張ったね!」と認めてあげましょう。「頑張っている自分をお父さん、お母さんはちゃんと見てくれている。認めてくれる」と感じることで、子どもは失敗を恐れず何事にも積極的に取り組むことができるようになります。

親が子どもに向き合い正しく褒めることは、子どもが今後の人生において他者との比較に振り回されることなく、自分の目標達成に向け努力できる大人になる為に大切なことです。

評価基準が「他者」になってしまうと、その時に周囲にいる人達が評価の基準になります。周りにどのような人がいても「自分」は変わらないはずなのに、他人と比較することで常に「自分」が周囲の環境に左右され、ぶれてしまうのです。

例えば、私が運営しているスイング幼児教室では、理解度に合わせて授業を進めるために、年長の一部のクラスでレベル別にしています。

すると、年中まではクラスの中で「できる子」として目立っていたのに、年長の新しいクラスでは「クラスの中で他の子と差がつかない、もしくはできないものがある」という立ち位置になります。 

その時に、「縦で褒める」ことができる親は、わが子をしっかり見て焦らず自分の子の成長を感じて取り組むことができますが、「横で褒める」(=他との比較の中で評価する)親は突然自分の子ができなくなったという錯覚に陥り、「なんでできないの?」と焦り始め、子どもを叱るという悪循環になることがあります。

子ども自身は何も変わっていないのに、周囲と比較し「できなくなった」と言われ、子どもは驚くとともに、頑張りを親に認められていない、という気持ちになるでしょう。

 
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