子どもとお金の話をしたことはありますか? お子さんが小さいほど、そんなのまだ早いでしょ、子どもにお金話はしたくない、そう考える方も多いかもしれません。ですが、今回ご紹介する書籍『お金にふりまわされず生きようぜ! レストランたてなおし大作戦』によると、海外では「子どものうちからお金の勉強をさせよう」という考え方が広がりを見せているそう。

日本でもその動きは始まっています。金融庁は子どもたちに大人気の「うんこドリル」とタッグを組み、お金のことを楽しく学べるサイト「うんこお金ドリル」を2021年3月にオープン。さらに高校では2022年4月以降、新たな必修科目「公共」に“金融経済”に関わる学習が加わり、「家庭科」では“資産形成”を学ぶことに。もはや、子どもたちへの「お金の教育」は当たり前の時代に突入しました。

とはいえ、子どもの頃に「こづかい管理」以上のお金の知識を教わらなかった現役世代は、大人になってから知り得たお金のしくみを子どもたちにどう伝えたらいいのか、迷ってしまいますよね。そこで今回は、マンガ・イラスト・物語でお金のことを楽しく教えてくれる『お金にふりまわされず生きようぜ! レストランたてなおし大作戦』から、小学生から始めたい、親と子でするお金の話=“マネバナ”のためのヒントを一部ご紹介します!


物語の主人公は小学5年生のケント。パパはレストランのコックでオーナー、ママはパパのお店を手伝っていました。ですが、レストランの客足は徐々に減り始め、ママは外で働くことに。

子どもに「お金の話はタブー」はもう古い?日本でも金融教育が本格化。親子で学ぶ“マネバナ”のヒント_img1
 

家計の悪化と比例するようにパパとママの仲も次第に険悪になり、家庭の温かさも失われていることに気づいたケントは、ある日突然「貯金箱」から飛び出してきたウサギの“ウサやん”と共に、お金の勉強を始めます。なぜか江戸っ子口調のウサやんは、子どもでもわかる「お金のしくみ」について語り始めました。

 


お金の基本は「かせぐ」と「つかう」


ケントの家で一体何が起きているのか。紙に大きな矢印をふたつ描いたウサやんは、その図をケントに見せながらこう解説します。

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【ウサやん】この2本の矢印は「かせぐ」と「つかう」を表している。左がお金を「かせぐ」、右がお金を「つかう」だ。上向きの「かせぐ」はお金が増えること。その逆へ下向きの「つかう」はお金が減ることを表している。わかるかい?
【ケント】上向きに増えて、下向きに減るんだね。わかったよ。

次にウサやんは、「かせぐ」と「つかう」の矢印の大きさとバランスを変えた図をケントに見せます。そして、ケントにこう質問しました。
「①と②のうち『お金が貯まる』のはどっちだ?」
みなさんもぜひ、考えてみてください。

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答えは……



もちろん①ですよね! 

ケントも見事正解しました。その理由についても、ケントとウサやんは意見を交わします。

【ウサやん】ピンポーン! 正解! どうしてそう思った?
【ケント】だって、①は「かせぐ」が大きくて「つかう」が小さいでしょ? そのほうがいいじゃん。
【ウサやん】その通り! ①はお金がうまく回っていて、②はそうじゃない。
【ケント】うん、わかるよ。①のほうが、いいよね。
【ウサやん】この「かせぐ」と「つかう」をあわせて「まわす」って言うんだ。ほら、この図でも矢印が回ってるだろ?
【ケント】へえ、たしかにお金がクルクル回ってる!
【ウサやん】①のようにお金がうまく回ると貯金が増えるし、②だと減る。いまケントの家は残念ながら②の状態だ。店のお客さんが減って「かせぐ」が小さくなり、貯金が減った。
【ケント】だからママが働きに出るのか! いまのクイズでわかったよ。
 

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個人も、商売も、国も、お金の基本は「かせぐ」と「つかう」
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黒い点の大きさは「貯金」の大きさを表しています。①のように回せば貯金が増え、②になると減ります。パパのレストランは②なので、貯金が減っている状態に。ウサやんはこの図を用いながら、「残念ながら日本の国家財政は②の貯金くいつぶし状態」で、うまくお金が回っていないことも解説。