今期ドラマ、印象的なモラハラ夫やモラハラ彼氏が多いなと思うのは私だけでしょうか。本記事では『シジュウカラ』『愛しい嘘~優しい闇~』『おいハンサム!!』から、モラハラ男たちの悪行や彼らがたどった末路についてご紹介したいと思います!

最低オブ最低夫『シジュウカラ』洋平(宮崎吐夢)
毎週金曜 夜24:12~テレビ東京ほかで放送中

山口紗弥加演じる主人公・忍の夫である洋平は、初回からその最低っぷりを表し、今期いちばん嫌われている夫役といっても過言ではない気がします。もう、こんなにすべての言動が腹立つ登場人物もなかなかいないのではないかというくらい。

夜迫ってきた洋平に忍がやんわり「今更あの子(息子)に兄弟できたら、困っちゃうじゃん」と断ると「まだできるの?」と40歳を目前にした忍にデリカシーのない言葉をぶつけます。自分のほうが12歳年上なのに忍をおばさん呼ばわりし、アシスタントにきた千秋(板垣李光人)のごはんがおいしいと「忍ちゃん負けてるね、はずかしい!」と茶化すなど、ことごとくこの上なくムカつく言葉をぶつけてきます。

 

しかもこの洋平、子どもが生まれてすぐの大変な時期に別の女と不倫していたのです。この出来事は15年経っても忍を深く傷つけていました。家に出入りする千秋に嫉妬し、疑いの目を向け始めた洋平は「あんな若い男がお前みたいなおばさん相手にすると本気で思ってるの?」と言ったうえ束縛も激しくなり、忍の仕事である漫画のことも馬鹿にし始めました。「漫画まだやってたの?」「俺が仕事してるから生活してこられたんだろ」「家でお絵描きしてるだけでいいよな」などなど。なお家事や育児は一切せず、忍に任せきりでしたが、それを忍が主張すると「それ俺がやっちゃったら、お前は俺のために何してくれるわけ?」と言います。ほんと最低。


忍が友だちと旅行と偽って千秋と出かけた夜、しつこく電話をかけ、家から出て探しに行こうとした洋平は「そんなことしたらお母さん本当に帰ってこなくなるよ」と言われます。息子がいい子に育ったことはこの物語の良心だと思います……。

洋平の最低っぷりはまだまだ続き、息子の悠太にわざわざ忍と千秋が一緒にいたことをバラします。もちろん忍にも非はあるのですが、庭で息子に告げたあと、忍のほうを見てニターッと笑う洋平の不気味なこと。息子の気持ちを第一に考えていたらそんなやり方はしないはず。いつでも自分が大切で子どもっぽいのです。忍がついに洋平の浮気のことを指摘しても、謝るどころか「女の浮気と男の浮気は違う」などとのたまいます。さらに出かけた先のスナックでは「妻には好きなことをしてほしいからね」と理解のある夫アピールしまくってるのがまた腹立つ~!

ついに忍が強く離婚を考えはじめた6話ラスト、物語は衝撃の展開を迎えます。洋平が倒れていて「息してない」と息子が泣いており、視聴者は一週間彼がどうなったかやきもき待つことになりました。大嫌いだったけど、本当に死ぬかもしれないとなると微妙な心境になるものだ。倒れる前、自業自得でしかないが「お前ら俺のこと好きじゃねぇんじゃねえかよ」と言っていた洋平を思い出すと、そんな風にしか生きられなかった彼が少々哀れな気もしてきます。

だが7話、奴は生きていた。生きてたんかーい! と突っ込みを入れつつ、倒れたのを機に働けなくなり、逆に忍は「純愛不倫の女王」と呼ばれる売れっ子に。なんと洋平は家事をやるようになったようです。なるほど、立場が逆転して忍の大変さもわかっただろう……と思いきや「家に帰ったら美味しいごはんができてるって、すごい幸せなことなんだよ」「忍ちゃんは幸せものだね」と言ってくる。モラハラ男はどんな立場になろうとモラハラ男なんだな……。遅くなると連絡を入れてきたり、家に帰ると寝ずに待ってたりと変わっていない様子。でも忍が自分の誕生日の夜(おそらく浮気して)帰ってきて、忍に迫るも「できないくせに」と言われ「お誕生日おめでとう」プレートの乗ったケーキが入った冷蔵庫の下で泣くシーンはちょっとかわいそうでした。でもすぐに「かわいそうだと思った私が馬鹿だった……」という行動を取るのが洋平です。

編集者との浮気を疑った洋平は「俺の1回だけの浮気をいつまでもグチグチ言ってさぁ。あれだって忍ちゃんのせいなんだよ!」「あの頃の忍ちゃん、いつもイライラして眉間にしわを寄せて、俺はもっと優しくかまってほしかった」と自分の浮気を忍のせいにした。そのときってあなたの子どもが生まれた直後で本当に大変だった時期だと思いますが……。とても還暦前の大人の言葉とは思えません。

ついに離婚を切り出した忍。「洋平さんはずっと私のことを馬鹿にしていた」と飲み込んできた気持ちを吐き出します。洋平は菜箸を首に当てて「離婚するなら死んでやる!」と言い出します。目の前にはナイフ類もあるのに選んだのが箸なところが洋平……。「死ぬなら勝手に一人で死んで」と言われ、去られてしまいます。

もう100%自業自得すぎるし、忍は20年間よく耐えたな。本当にお疲れさまでしたという気持ちです。洋平が最低すぎて演じている宮崎吐夢さんまで嫌いになってしまいそうですが、公式Webサイトのインタビューで、ご本人が40歳を過ぎて生きなおそうとする忍への共感と洋平への苛立ちをお話されていてちょっとだけ心が和むのでした。

洋平は最低ですが、ドラマ自体は面白いのでぜひ観ていただきたい作品です。