春はやたら眠くなったりダルかったり、逆に妙にピリピリして落ち着かなかったり……。気候は良いのだけど意外と調子は悪い、と感じている人は少なくないのではないでしょうか。そう、春は“ゆらぎ”の時期で身体も心も不安定になりやすいのです。とくに更年期世代の女性は身体が変わる過渡期にいるだけに、ゆらぎの影響をもろに受けてしまうもの。そこで今一度見直したいのが、心身の健康の土台となる“睡眠”。衣食住の様々な方向からオーガニックライフを啓蒙している神田恵実さんに、ホルモン分泌を促す深い睡眠のとり方について教えてもらいました。

お話を伺った方
神田恵実さん

睡眠改善インストラクター。2005年より、オーガニックライフの素晴らしさを伝えたいと「nanadecor」をスタート。オーガニックに関するコンサルティングやディレクション、睡眠の重要性を伝える活動、幼児教育に関するアプローチなどをおこなっている。近著に『頑張りすぎているからだとこころを休ませる本 ゆるめる自分』がある。また、心と身体を自分でケアできる女性を育む未来型オーガニックライフ研究所「my organic labo」を立ち上げ、勉強会や企画・コンサル、コンテンツ編集などもおこなっている。 

 

入眠すぐに睡眠レベル4に達することが大事。

日本女性の睡眠時間は世界一短い、というデータもあるほど、多くの日本女性は睡眠を整えることを後回しにしているのが実情。でも、睡眠には私たちが思っている以上の効能があることをご存知でしょうか?

 

脳の疲れのリセットやホルモン分泌は良質な睡眠によって行われる


「私たちの身体は様々なホルモンを分泌していますが、その分泌の多くは睡眠中におこなわれています。また脳の疲れをリセットする機能も睡眠中に行われるので、ストレスが過剰にたまるのを防いでくれます。睡眠不足だと、昨日あった嫌な出来事が抜けきらず目覚めてもモンモンとしたりしますよね。そしてちょっとしたことでイライラしたり、キレてしまったり……。これは睡眠不足による脳のサインだと思ってください」
 

春の睡眠はダイエットの強い味方に!


また睡眠は、ダイエットの成功・失敗にもっとも関係している、と言っても過言ではありません。

「睡眠不足は食欲を増大させるからです。4時間睡眠をたった2日続けただけで、食欲をおさえるホルモン・レプチンの分泌が減少し、逆に食欲を高めるホルモン・グレリンの分泌が亢進することが分かっています。夜中に高カロリーなものが無性に食べたくなるのはこのグレリンが増加して、食べ出したら止まらなくなるのはレプチンが減少するのが原因です。ダイエットをしているなら、食事を変えることよりもまずは睡眠をしっかりとるほうが大事なのです。

とくに春はアレルギー症状が出やすくなるなど、“排出の時期”でもあります。そのため身体も、冬に蓄積された脂肪を溶かしてリセットしようとする。春はふきのとうやウドなど苦みのある野菜が増えますが、これらの苦み成分には腎臓のろ過機能をアップさせるなど、様々な排出効果があるんです。ダイエットには最適な季節なので、春こそ睡眠をしっかり整えると良いでしょう」

他にも睡眠中は、成長ホルモンの分泌が促されるなど様々なプラス効果があります。ただし、だからといってただ睡眠時間をたっぷり取ればいい、というわけではないのです。

「睡眠は浅いレム睡眠と深いノンレム睡眠を繰り返していますが、このノンレム睡眠にも浅い、深いの4段階があります。私たちの身体は、上の表にあるようにもっとも深い4のノンレム睡眠の到達に向かって大量の成長ホルモンが分泌されるのですが、残念ながらほとんどの人はそこまで到達できていません。つまり睡眠は、時間の長さではなく、どれだけ深く寝ているかが何より重要なのです」

 
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