副交感神経のスイッチを意識的に入れる習慣を
 

しかし現代人は、普通に寝ると深い睡眠にはたどり着きにくいのが実情です。

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神田さんがプロデュースするナナデェコールのオーガニックコットンを使ったパジャマやブラ。肌から副交感神経にスイッチを。

「自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、“入眠”とは副交感神経が優位になる状態を言います。でもスマホのブルーライトは視覚を覚醒させ、交感神経を優位にしてしまう。寝る直前までスマホを見ている人も多いと思いますが、そこから急に眠りにつこうとしても上手く神経が切り替わらないのです。

また昨今は、昔よりも人も騒音も増えている。さらに女性は無意識に自分の身を守ろうと、危険センサーのようなものを常に働かせています。さらにコロナ禍もあって、どこか気持ちが緊張状態にあり、芯からリラックスするのが難しい。副交感神経に切り替わりにくい時代とも言えるので、意識的に切り替え作業をおこなう必要があるんです」

 

では深い睡眠を得るためにはどうしたらいいのでしょうか? まずは入浴でリズムを整えることが大事だと神田さんは言います。

「私たちは身体の深部体温を下げながら眠りにつきます。だから入浴するタイミングは重要。寝る2時間ぐらい前にお風呂に入ると、ちょうど寝る頃に程よく体温が下がります。反対に入浴してから時間があきすぎると、体温が放出されて冷え切ってしまい、かえって寝つきが悪くなってしまうのでタイミングは本当に大切です。

さらに、入浴後は着心地の良いパジャマに着替えることも有効。脳が『この肌触りがくると眠るタイミングだ』と覚え、努力しなくてもパジャマを着るだけで副交感神経に切り替わるよう助けてくれます。ただ、何事も習慣化するには3ヵ月ぐらいはかかりますので、すぐに結果を求めず、諦めずに続けてほしいと思います」

そういった習慣化に加え、五感を使って意識的に副交感神経にサインを送ることも大事。神田さんによると、中でももっとも有効なのに意外と疎かにされがちなのが、“肌触り”という触感にサインを送ることなんだそう。

「どの素材を心地いいと感じるかは人によって違いますが、個人的にはオーガニックコットンのパジャマがオススメです。石油系の加工をあまりしていませんし、洗っていくとフワッと柔らかくなり、さらに気持ちが良くなるものが多い。シルクも良いですが、オーガニックコットンのほうが洗っても痛みにくく耐久性があるので、長持ちするのもオススメポイントです」

とくに更年期世代は、意図しない身体の変化に襲われるもの。様々なアプローチで睡眠環境を整えることはこれまで以上に必要になってくる、と神田さんは指摘します。また、ホルモンバランスを意識したサプリメントや食生活を取り入れていきたい時期です。

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「更年期って、体力が落ちて今までと同じようには動けなくなっているのに、介護や、仕事での責任が増したりと、抱えるものは増えてきています。しかもこの世代って責任感が強く、一人で頑張ろうと自分で自分を追い込みがち。更年期はただでさえ寝つきが悪くなったり眠りが浅くなるなど睡眠の質が悪くなりがちなのに、そういった過度な疲労とストレスを知らず知らずため込んで、さらに眠れなくなっている人が多いんです。

更年期はある意味、そういった身体の変化を通して生活を見直すべき、と教えてくれている時期でもあります。そのことを自覚して、睡眠環境を改善して日常の質を上げてほしい。だって、気持ち良く眠れることってもっとも豊かなことであり、最大の幸せでもあると思いますから」
 

撮影/嶋田礼奈(サプリメント)
イラスト/前田はんきち
文/山本奈緒子
構成/藤本容子
 
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