2022年3月16日に福島県沖で発生した地震の影響で、広範囲な停電が発生しました。地震によって火力発電所が停止したことが原因ですが、復旧が完全に終わらないうちに全国的に気温が急低下し、22日には電力需給が逼迫する事態となりました。幸い大規模な停電は起こりませんでしたが、節電に取り組んだ人も多いと思います。
私たち日本人は、エネルギーを自由に使えるのは当たり前という感覚を持っていましたが、言うまでもなく日本はエネルギーをほぼ100%輸入に頼っており、常に供給不安を抱えている国です。ロシアによるウクライナ侵攻で、資源供給体制が変動するリスクも指摘されている現実を考えると、これからの時代は、いつエネルギー不足がやってくるか分からないという認識が必要かもしれません。
国全体としてエネルギーを安定供給する仕組みを構築するのはもちろんですが、一方で、仮に停電が発生してもその影響を最小限にとどめる工夫も同時並行で進める必要があります。寒い時期に電気の供給が途絶えるのは非常に困ったことですが、家屋の断熱化を進めれば、少なくとも、温度の急低下で危険にさらされるという事態は回避できますし、節電も容易になります。
近年、断熱化の技術はかなり向上しており、しっかりとした断熱工事を行えば、真冬で暖房を付けなくても家の中の温度を18〜20℃程度に維持できます。逆に言えば、低めの温度で平気な人の場合、断熱した家では、冬でも最小限の暖房で過ごすことが可能です。
新築物件では断熱処理が行われているケースが増えていますが、古い物件はそうはいきません。しかしながら、中古マンションなど古い物件でも、窓を二重サッシにするだけでもかなりの効果が見込めます。
日本は工業製品の省エネ化は進んでいるものの、住宅の断熱化が不十分なため、家庭部門でエネルギーの無駄遣いが多いと言われます。家屋は一度、断熱化してしまえば、ずっと効果を発揮しつづけますから、国全体でこの施策を進めていけば、冬期の停電対策はもちろんのこと、社会の省エネ化も推進できるでしょう。
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