年齢よりも「ちゃんと生きる」ことが重要
スー:当たり前のことですが、年齢を重ねたからといって性別が変わるわけではありません。生理が終わることに対しての漠然とした恐怖は、私のなかにもあります。経験したことがないですから。閉経で女性としての価値がゆらぐような不安も、皆無とは言えません。
でもそれって、女は若いほうが価値があるかのような社会的な刷り込みを私が内在化してしまっているだけの話。自分で自分の首を締めていると言える。私自身も含めて、まずはそこからの脱却をしないと変わらないと思いますね。
甘糟:私は先日58歳になりましたけれど年齢を重ねることに対して、悲観的な気持ちばかりでもないですよ。
スー:だからこそ甘糟さんって、現役感があるんでしょうね。
あとは、ウォーキングやジョギング、筋トレなどしっかり運動をしていて、美味しいものも食べていますよね。甘糟さんを見ていると、「毎日楽しくちゃんと生きる」ことが重要なんだと思います。
甘糟:ここのところ運動不足でヤバいなあと思ってますが、美味しいものを食べて楽しくはしてます。歳を重ねることに対して不安になるのは「もう若くない」ことをネガティブに考えてしまうからかもしれません。日本語だと中年の女性を表すのは“オバさん”という言葉しかないですけど、“若者”と“シニア”の間に何か別の言葉があればいいのに、とは思いますね。
スー:日本には“マダム”という概念がないですからね。ここで育っている以上は、新しい概念を生み出そうと思ってもなかなか難しいのも事実。
ただ、“もう若くはない”という事実が、“絶望”と等記号では結ばれないということがすごく大事で。
例えば、甘糟さんのように自分より年上の方が楽しそうに生きているのを見ると、私は心が晴れるし、私自身も下の世代の人から同じことを言われるんです。結局そうやって、若い世代の未来を明るく照らす“たいまつリレー”をやっていくしかないと思っています。
私も甘糟さんも、結婚していないし子どももいないけれど、楽しくやっていますよね。お互いに若くはないけれど、失うことばかりではないですから。もちろん体力がなくなったり、病院に行く回数が増えたりはしますけど。
仕事、健康、美容……そのバランスは?
仕事や健康、美容のバランスをうまく取るのも年々難しくなる気がしますが、いかがでしょうか。
スー:今までは、24時間を睡眠と仕事とレジャーに振り分ければよかったのですが、そこに「メンテナンス」という要素を入れないと回らないようになってきました。では何を削るかというと、仕事です。今まで仕事をしすぎてきたということもあり、50歳からの10年は仕事を減らして、メンテナンスと遊びに振り分けたいと考えています。
甘糟:私はだんだん健康と美容の境目がなくなってきましたね。まずは健康な状態でないと、美容なんて言っていられない。別のいい方をすれば健康であれば、それだけで魅力的に見えちゃうのが中年。50代って痩せても太っても、病気を心配されるんですよ(笑)。
同世代の気の置けない友人同士では多少耳の痛いことも指摘し合うようにしてます。痩せた太っただけじゃなくて、服やメイクの良し悪しとか、言葉遣いとかね。中にはおせっかいな友人がいて毎日の歩数をLINEで管理してくれるんですよ。私がすぐサボるから。そういう友人がいるのは本当にありがたいです。
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