40代、そして50代を過ごすにあたり、できるだけ人生を楽しみたい……と願うのは当然のこと。しかしながら未知の未来が想像できず、年齢を重ねる不安を抱いている女性もいると思います。

今回は、40代女性を描いた小説を書かれている作家・甘糟りり子さんと、エッセイを多数執筆されているジェーン・スーさんの対談を、2週にわたってお届けします。

40代、そして50代の女性の生き方について、プライベートでも親交があるというお二人の考えや経験を語っていただきました。

 


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「もう若くない=絶望」に結びつけないで!40代女性の「オリジナル」な生き方【甘糟りり子×ジェーン・スー 前編】>>


甘糟りり子
1964年、横浜生まれ。幼い頃から鎌倉に暮らす。玉川大学を卒業後、アパレル会社勤務をへて文筆の道へ。クルマ、レストラン、ファッションなど、都会のキラめきをモチーフにした小説やコラムに定評がある。バブル世代の女性たちの40代を描いた『エストロゲン』(小学館文庫)や、現代に生きる女性やその家族が直面する問題を取り上げた『産む、産まない、産めない』『産まなくても、産めなくても』(ともに講談社文庫)は、読者の共感を呼びロングセラーとなっている。近著『鎌倉の家』(河出書房新社)、『鎌倉だから、おいしい。』(集英社)、『バブル、盆に返らず』(光文社)

ジェーン・スー
1973年、東京生まれの日本人。作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティ。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎)で第31回講談社エッセイ賞を受賞。『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ社)、『私がオバサンになったよ』(幻冬舎)、『これでもいいのだ』(中央公論新社)、『きれいになりたい気がしてきた』(光文社)など著書多数。TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』放送中。TBSの堀井美香アナとのPodcast番組「ジェーン・スーと堀井美香のOVER THE SUN」は毎週金曜日17時配信。

40代以降の女性の人生に、「何をすべき」というマニュアルは存在しない。【甘糟りり子×ジェーン・スー】_img0
 


「飲みに行くなら、25歳の私より、今の私の方が絶対おもしろい」


前回の対談では、お二人が「年齢を重ねても、失うことばかりでない」ときっぱり仰ってくださったことが印象に残りました。

実際お二人が40代になった当時も、全く年齢は気にしていませんでしたか?


甘糟りり子さん(以降甘糟):そうですね。40歳になったときは、何にも気にしていませんでした。「40代になったけれど、だから何?」くらいの感じでしたね(笑)。

ジェーン・スーさん(以降スー):私も40歳になったときは特に。でも42、43歳くらいで体力がガクッと低下したのを感じました。そこから筋トレを始めて、今は忙しく過ごしているわりには元気だと思います。目覚めがバチっといい日はありませんが、もう少し経つとまた戻ると聞いているので、今はそれを楽しみにしています。

甘糟:うーん、どうでしょう、戻るのかな? いわれてみれば、私はお酒を飲む量がぐんと減ったので、最近目覚めがいいかもしれない。相変わらず飲みに行くのは好きですけれどね。酒量は減っても、25歳のときの私と今の私と飲みに行くなら、今の私の方が楽しいと思います。コミュニケーションというのはお互いが気遣いを持ち寄って成り立つものだとわかっているし、楽しい情報たくさん持ってますし。25歳の私は、相手に対して「どうやって私を楽しませてくれますか?」みたいな態度でした。そんな女の子と飲むより、今の私と飲んだ方が絶対盛り上がるでしょ? それにあの頃、私はお店を選ぶこともできなかったけれど、今の私だったら最低5軒はいろんなタイプのお店を提案できる(笑)。若ければいいというものではないです。

それは素敵ですね……! 交友関係や人との付き合い方などに変化はありましたか?

甘糟:もちろん、それはあります。スーさんの著書の中に、“口説いてくるわけわけでもないのに、LINEと電話でマメに連絡してくる男性のエピソード”が出てきましたよね?

スー:ああ、「セックスレスのセフレ」を持つ友人の話ですね(笑)

甘糟:年齢が上がると、そういう男性に遭遇することが多くなるかも。意味もなくLINEで近況報告してきたり、中途半端にシリアスな悩みを相談してくる、みたいなね。かなりマメに連絡してくるけれど、別に誘ってくるわけでもないっていうね。こっちも経験を重ねてますから、男性は甘えやすくなるでしょうね。私は「心のセフレ」って呼んでます。良いのか悪いのかはよくわからないですけれど。

40代以降の女性の人生に、「何をすべき」というマニュアルは存在しない。【甘糟りり子×ジェーン・スー】_img1
 

スー:確かに、頼りにされることは増えてきました。甘えてくる男性が周りに増えてくるのは新しいフェーズかも。若い頃は怖がられてばかりだったので、ちょっと楽しみです。

年齢を重ねたことで、こちらがことさらに構えずとも、相手から馬鹿にされないとか、ジャッジされないようになったという安心感はあります。ようやくひとりの人間として見られるようになったと感じる女性も多いんじゃないかな。

気を張らないで付き合えるようになったので、私としては楽ですね。これを言ったら不機嫌にさせてしまうかも? などと余計な気を遣わなくなりました。

そもそも40歳を越えてからは、男女ともに、関係性を固定しないで付き合える友達ができました

例えば年上や年下だからといって先輩・後輩のポジションを取られてしまうと、その時点で関係性の幅が限られてしまいますよね。年下だとしてもこちらが頼ることもあれば、頼られることもありますし、関係を固定しない方が自由で楽しいです。
 

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年齢よりも「ちゃんと生きる」ことが重要。【甘糟りり子さん×ジェーン・スーさん】
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