甘糟:私も友達の数はそんなにいらないと思うようになりました。数ではなくて、いざというときに話を聞いてもらえる相手が大切。
若い頃は友達の数が多い方がかっこいいと思い込んでいたけれど、当時は友達と知り合いの区別もついていませんでした。六本木でばったり会って「元気ぃ?」って声をかけ合う人の数が多ければ多いほど偉いと思い込んでいたので……(笑)。今、そんな体力ないです。
スー:自分がリソースをさける相手の数って限られますから。何かあっても駆けつけられるような存在となると、やっぱりそんなに多くはいないですよね。
40代以降の美容については、いかがでしょうか?
スー:40歳を越えたら、美容は「原理原則を大切にすること」だと痛感するようになりました。例えば甘糟さんが綺麗なのも、規則正しい生活をしていらっしゃるからだし、健康でいないと美までたどり着けないなと。髪の美しさを保つためにシャンプーの洗浄成分に気をつけるとか、肌のために刺激の強い洗顔は避けるとか。そういう原理原則を守るようにしています。
あとは、プロの手に委ねることの大切さも知りました。ヘアメイクさんにメイクしてもらうことで自分の顔を知ったり、カメラマンさんに写真を撮ってもらうことで表情の癖を理解したり。
膝を抱えて悩んでいても解決できることなんて一つもないですから、40歳を過ぎたらいろいろ試してどんどん外注して、プロの手に委ねることが打開策になるかも。
「美魔女」は中年女性たちの矢面に立ってくれた?
美容といえば、スーさんは「きれいになりたい気がしてきた」の冒頭部分で、“美魔女”について触れていましたね。実は最初は、美魔女に苦手意識があったのだとか。
スー:そうです。最初は嫌悪の感情を抱いていたのですが、それって結局、私が自分の中にある「女の人はこうあるべき」という男社会が作った物差しで他人と自分を測っていただけだったと気づいて、ゾッとしましたね。でも今は、「もう、じゃんじゃんやって!」と思っています。
実際に何人かの美魔女の方達にお会いしましたが、皆何かしらの苦悩を抱えていて、それを美で発散し、自分を大切にしようとしているだけ。それを初めて知ったときに「そりゃそうだよね。同じ40代で、女としてここまで生きてきて、何も抱えていないわけないよね……!」と感じ、シスターフッドのような意識が芽生えました。
小説『エストロゲン』の登場人物である真子も、まさに美魔女でヌードに挑戦していましたよね。甘糟さんも美魔女の方にお会いしたことはありますか?
甘糟:小説を書く時、取材で何人かお目にかかりました。本当にエネルギッシュな方たちですよね。
“美魔女”というのは、私の解釈では「美に対して探究心が旺盛で、年齢に抗う努力を怠らない女性」という定義です。彼女たちのスタイルはもはや美魔女という呼称を用いる必要もないぐらいに市民権を得たように思います。
それもこれも中年女性の生き方が多様化した証。彼女たちが矢面に立ってくれたからなんですよね。
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