「 “夫やパートナーも妊娠して気持ちを知ってほしい”と思ったことがある女性も多いのでは」。Netflixシリーズ『ヒヤマケンタロウの妊娠』は、漫画家・坂井恵理さんのそんな思いをきっかけに生まれたマンガを映像化した作品です。男性妊娠が一般的に知られるようになった、でもまだまだ決して多くはない世界で、想定外に妊娠してしまったエリート会社員・桧山健太郎(ヒヤマケンタロウ)。多くの女性が担わされてきたその役割を、もし男性が体験したら。視点の逆転から見えてくる世界とは、いったいどんなものでしょうか? 原作者の坂井恵理さんと桧山健太郎のパートナー・瀬戸亜季を演じる上野樹里さんに聞きました。
妊娠した身体で仕事を続ける大変さを男性が経験すると……
坂井恵理先生(以下、坂井):男性にとって妊娠は、やっぱり「他人事」だと思うんです。自分の肉体ではないので。ドラマ版では、妊娠検査薬で陽性が出たときの桧山健太郎(斎藤工さん)の反応がすごく面白かった。桧山がつわりに苦しめられる場面も、多少の疑似体験してもらえるのはいいなと思いました。
上野樹里さん(以下、上野):妊娠と仕事で桧山のあたふたする姿を見て、同僚の女性社員が「私たちは当たり前にやってるのに、何偉そうなこといってんの?」というセリフがありますよね、女性は共感するだろうなと思いました。
坂井:ただ私自身も、原作の企画段階では妊娠経験がなく、物語がうまく作れなかったんです。一気に作ることができたのは妊娠してから。そういう経緯があるから、多くの男性のそういう反応は、ある程度は仕方ないのかなと。
上野:坂井さんは妊娠中はどんなことが大変でしたか?
坂井:私はとにかく眠くて眠くて。眠気で全然仕事にならず、本当は2週間で描かなきゃいけない原稿に、3週間かかってしまったり。それもやっぱりフリーランスだから自分である程度調整しながら進めて、なんとかこなすことができましたが、組織で働いている女性は大変だと思います。
上野:会社で仕事をしながら子育てもして、オーバーワークでストレスをためている女性ってたくさんいると思います。夫やパートナーに見てもらって「妊娠から子育てで、こういう苦労を普通に経験しているんだ」ってことをわかってほしいですね。
坂井:妊娠って「もう一人の人間がお腹にいる状況」で、それだけで不安な日々なんですよ。ただお茶飲んでいるだけでも心の片隅で「何かあったらどうしよう」と思ってるし、お散歩してても「いきなり誰かにお腹蹴られたらどうしよう」とか考えたり。そういう部分もわかってもらいたいですよね。
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