女性が企業で働き続けることで、価値観、思考が男性化することも


男女平等とはいっても、現実的には、社会はまだ男性優勢です。多くの企業は、女性社員に男性的な思考を求めることは少なくありません。
例えば、女性は「共感し合う」コミュニケーションをとることが多いですが、会社では、そんなことよりも、真っ先に結論を求められます。「自分がどんなに努力したのか」なんて説明しても、受け入れられず、「どんな結果を出したのか」が重視されることは多いでしょう。
思考は訓練によっても変わってくるので、女性が企業で働き続けるうちに、ものの考え方が男性的になってくることはあります。

よく「男性と女性では、脳の仕組みが違う」と言われますが、実際は、脳は体ほど明確に「男女の違いがあるわけではない」ようです。
以前、NHKスペシャル『ジェンダーサイエンス(1)「男X女 性差の真実」』で、「男女の脳の性差」について取り上げました。

イスラエルの研究チームは、18歳から80歳までの1400人の脳を、MRIを使って調べたところ、女性グループと、男性グループで、大きさが違う場所が見つかりました。ただ、明確に男性寄り、女性寄りと言える脳をもっている人は、全体の10%に過ぎなかったのです。
残り90%は「男女モザイク脳」で、環境や経験が、脳や脳に影響を与える性ホルモンを変化させ、自分ならではの「モザイク脳」が生まれる、ということでした。

 

環境の変化で、男性も中性化している


この番組では、男性が男性ホルモン「テストステロン」が25%減っていて中性化が進んでいることも紹介していました。
その原因は、単に運動不足・肥満・長期にわたるストレスだけなく、仲間と協力しあう「集団社会」の芽生えによって、変わってきたそうです。
“テストステロンが高く、攻撃的な男性”は、淘汰(とうた)されやすい世の中になったからです。
「愛と調和に向かっていくこと」が人類の進歩だとすれば、これは悪いことではありません。

実は、人が中性化するのは、「人間の進化」でもあるようです。それについては、次のページで紹介します。