男性の子育てに優しい社会にならないと女性は楽になれない


上野:作品を見ると「子育ては女性がすべき」といったことをはじめ、社会で当たり前のようにされてきたことが、たくさん引っかかってきて、考えさせられます。

坂井:人間にはそれぞれに、むいていることとむいていないことがあるし、他の人たちと同じにしなくてもいいんですよね。カップルであればお互いに話し合って、理想の形を作っていけばいいと思います。ただ社会としては、男性の育児休暇や時短勤務がもう少し選択しやすくならないとーーつまり子育てする男性に優しい社会に変わっていってくれないと、女性は楽にはならないんじゃないですかね。

上野:例えばですけど、もし大半の男性が子供を産むようになったら、働き方ももっと優しくなるかもしれないし、定時でちゃんと帰ることができたり、お迎えにも行けたり、女性の方が社会的立場が強くなっていくかも知れませんね。

 

坂井:育児において言えることは、女性も男性も「ママじゃなきゃダメ」って思い込んでると思うんですよね。でも子供が「ママ、ママ」になるのは、単に母親が子供と一緒に過ごす時間が圧倒的に長いからだと思います。

私は子供が生後半年ぐらいの時に一度、夫一人に子供を託して半日出かけたことがあったんですね。その時に家に帰ってきたら「 一人で面倒見るのがこんなに大変と思わなかった」と言ってくれて。たぶん世の中のお母さんは、みんなこのセリフを聞きたいだろうなと思ったんです。本当に育児も家事もまったくやらないパートナーだと難しいかもしれないんですが、ある程度やろうという気持ちがある人だったら、思い切って任せてしまう日があってもいいんじゃないか。そうすれば相手も意識が変わるんじゃないかなと思います。すごくてこずったとしたら、日頃育児をしている側の大変さを理解するかもしれないし、ひとりで乗り切れたら、それが自信にもなるだろうし。

ドラマの中には、男性が赤ちゃんを抱っこして可愛がっているシーンがたくさんあるんですが、その映像がとても良かった。視聴者にも「男性が育児している風景ってすごくいいなー」って思ってもらえるんじゃないかなと思います。
 

 

坂井恵理 Eri Sakai
漫画家。1972年生まれ、埼玉県出身。代表作に『ヒヤマケンタロウの妊娠』、『ヒヤマケンタロウの妊娠 育児編』、『鏡の前で会いましょう』、『ひだまり保育園 おとな組』など。山口紗弥加×板垣李光人で2022年1月にドラマ化された『シジュウカラ』も話題に。

 

上野樹里 Juri Ueno
俳優。1986年生まれ、兵庫県出身。2001年デビュー。映画『スウィングガールズ』で『第28回日本アカデミー賞』新人俳優賞を受賞。ドラマ「のだめカンタービレ」(06年)で注目を集め、その後「ラスト・フレンズ」(08年)で多数の賞を受賞。NHK大河ドラマ「江 姫たちの戦国」(11年)「監察医 朝顔」(19年)などで主演。2022年はドラマ「持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~」の主演を務める。


<上野樹里さん着用>
トップス ¥52800、スカート ¥63800/ロキト(株式会社アルピニスム)


問い合わせ先/
株式会社アルピニスム tel. 03-6416-8845

<作品紹介>
Netflixシリーズ『ヒヤマケンタロウの妊娠』

『ヒヤマケンタロウの妊娠』4月21日(木)Netflixにて全世界同時独占配信

自分が妊娠するとはまったく思っていなかった男性が妊娠するようになってから50年。広告会社で働く桧山健太郎(斎藤工)は上司やクライアントの信頼も厚いエリートとして仕事も絶好調。恋愛も特定の恋人を作らず軽やかに遊ぶ毎日を謳歌していた。ある日、病院に行った桧山は、自身が妊娠していることを知る。相手は同じく仕事最優先で結婚も出産も考えていないフリーライターの亜季(上野樹里)。妊娠による体調不良を伝えられず会社から睨まれていた桧山は、まだまだ社会では珍しい自身の妊娠を世間に公表することで一躍時の人となる。妊娠を利用した桧山だったが、妊娠した男性仲間との出会いで親としての自覚が芽生えていく。一方、亜季は「妊娠した男性のパートナー」として家族や友人から心無い言葉を投げられ、桧山と共に子供を守ることを決意する。家族についての考え方にすれ違い、悪戦苦闘しつつ、新しい人生を模索する2人。しかし突然、死んだはずの桧山の父が現れ……!?

原作:坂井恵理『ヒヤマケンタロウの妊娠』(講談社「BE LOVE KC」所載)
監督:箱田優子 菊地健雄
脚本:山田能龍 岨手由貴子 天野千尋
出演: 斎藤 工 上野樹里
筒井真理子 岩松 了 高橋和也 宇野祥平 山田真歩 / リリー・フランキー
細川 岳 前原 滉 森 優作 山本亜依 伊勢志摩 篠原ゆき子 橋本 淳 小野ゆり子 木⻯麻生  ⻫木しげる 根岸季衣
エグゼクティブ・プロデューサー:高橋信一(Netflix コンテンツ・アクイジション部門マネージャー)
プロデューサー:間宮由玲子(テレビ東京) 太田勇(テレビ東京) 平林勉(AOI Pro.)
企画・制作:テレビ東京
制作協力:AOI Pro.
配信:4月21日(木)、Netflixにて全世界独占配信 
【Netflix作品ページ】https://www.netflix.com/ヒヤマケンタロウの妊娠
©️坂井恵理・講談社/©️テレビ東京


撮影/塚田亮平
ヘア/Shotaro (SENSE OF HUMOUR)
メイク/Sada Ito for NARS cosmetics (donna)
スタイリング/岡本純子
取材・文/渥美志保
構成/川端里恵(編集部)