2021年11月9日、日本を代表する小説家であり、僧侶としても熱心に活動された瀬戸内寂聴さんがお亡くなりになりました。故人の著作や説法、講演、インタビューなどを通して癒された、もしくは励まされたという人は少なくないでしょう。
ユーモアたっぷりにさらっと物事の本質を突くあの切れ味抜群なお話を聞けないと思うと寂しい限りですが、なんといっても99歳の大往生。われわれがテレビなどで拝見していた寂聴さんらしく、いたずらっ子のような笑みを浮かべながら旅立っていかれたのではないでしょうか。
寂聴さんの秘書・瀬尾まなほさんが寂聴さんの最期の日々をつづったエッセイ『寂聴さんに教わったこと』を読むと、晩年の寂聴さんは病気や怪我に悩まされながらも大方の予想通りに楽しく日々を過ごしていたことが分かり、安心した気持ちになれます。また、親密でありながらも親子ほど近すぎないという寂聴さんと瀬尾さんの絶妙な距離感が独特なユーモアを生んでいて、読み進めるうちに自ずと笑顔になれるでしょう。
人生100年時代となった現代を楽しく生きるためのヒントが詰まっているとも言える本書。今回はその一部をご紹介したいと思います。
著者プロフィール
瀬尾まなほ(せお まなほ)さん:1988年、兵庫県生まれ。京都外国語大学英米語学科卒。卒業と同時に寂庵に就職。2013年、長年勤めていた先輩スタッフたちが退職し、66歳離れた秘書として奮闘の日々が始まる。2017年6月より共同通信社の連載「まなほの寂庵日記」を開始。同年11月に出版したエッセイ『おちゃめに100歳! 寂聴さん』(光文社)がベストセラーになる。2021年4月、読売新聞の連載「秘書・まなほの寂庵ごよみ」を開始。困難を抱えた若い女性たちを支援する「若草プロジェクト」の理事も務める。他の著書に『命の限り、笑って生きたい』(光文社)、『寂聴先生、ありがとう。』(朝日新聞出版)などがある。
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