私たちは朝早くから活発に動く人を「朝型」、夜遅い時間でも頭が冴えている人を「夜型」と呼んで当たり前のように区別していますが、なぜこのような違いが生じるか考えたことはありますか? 

筆者は単なる生活習慣の違いで、活発になる時間帯は環境に合わせて変化すると思っていたのですが、実は先天的な要因が約50%も影響しているのだとか。その事実を知ったおかげで、早寝早起きしたくてもなかなか実行できない自分は、ただのだらしない人間ではなかったのだと少し安心しました。

このように筆者を安堵させてくれたのが、精神科医・産業医である穂積桜さんの著書『朝型 夜型 中間型は遺伝で決まっている! クロノタイプ別 睡眠レッスン』です。本書には「朝型」「夜型」の細かな特徴や、就寝時間や日光浴の時間などそれぞれに合った睡眠および生活のスタイルが紹介されています。

高価な枕を買ったりアロマを焚いたりと、しっかり寝るためにあれこれと工夫されている方も多いと思いますが、本書を読めばそのような道具に頼らなくても良質な睡眠が得られるかもしれません。今回はその一部をご紹介します。

良質な睡眠は「お金のかからない予防医療」


睡眠とは、いってみれば「お金のかからない予防医療」です。

ほとんどの人は体調を崩してから病院に行きますが、それでは、診療費や薬代、それこそ交通費だって必要となります。人によっては会社を長期にわたって休まざるを得なくなって、収入が減ってしまうこともあります。人間とは本当にうまくできていて、睡眠を取るだけで脳と体のメンテナンスをすることができる生き物なのです。生まれながらにせっかく備わっているその機能をぜひ利用してください。

 

良質な睡眠を手にするために重要なのが、まず、あなた自身の「睡眠タイプ」を知ることです。この睡眠タイプは、「クロノタイプ」と呼ばれています。「クロノタイプ」という言葉を聞いたことのない人でも、「朝型」「夜型」という言葉はご存じですよね? 「自分は朝型だ」「夜のほうが仕事に集中できる」というふうに、自分の睡眠習慣とパフォーマンスの善し悪しの関連性をなんとなく自覚している人は多いはずです。簡単にいえば、それこそがクロノタイプです。