ウクライナで今、求められる子ども番組


カンヌの話に戻すと、会場ではウクライナを代表するメディア企業に所属する女性たちが中心となって、新たなプロジェクトを立ち上げる計画も発表されました。共同ファンドを設立するもので、その主な目的は新たなコンテンツ制作のための資金調達です。

「Stand with Ukrainian Content Industry(スタンド・ウィズ・ウクライナ・コンテンツ・インダストリー=ウクライナのコンテンツ産業と共に立ち上げれ)と題したセッションで「皆さんに寄付を求めているわけではありません。実用的かつ国際共同制作を提案する仕組みとして考えています」と、その内容が明かされました。

「求めているのは慈悲ではない」ウクライナ・メディアで働く女性たちが語る非常事態下のエンタメ、子供向け番組の必要性_img0
 

またウクライナでは今、子ども向けの番組が求められていることも話題の1つにありました。子どもたちにどのように伝え、どこまで話すべきか、悩む親たちは多いと言います。長期戦が予想されるなか、心理学者を起用した番組を立ち上げ、とめどなく流れる戦争報道から解放できる時間を作ることに目が向けられています。

 

当然ながら、ウクライナ内外で活動する彼女たちの活動は限られてはいます。それでも、こうした前向きな話が数多く聞かれました。その後、会場内で何度となく顔を合わせたアラさんも変わらず生き生きとした表情が印象的でした。

そして、再びおもむろに鞄から取り出すものを見ると、それは横幅1.5メートルのウクライナの国旗でした。「写真撮りますか? 記事に必要でしょ?」と言うアラさんに「お見通しですね!」と返すと、今度は共に笑い合い。一日でも早くその笑顔を絶やさない日々が戻ってくることを願ってやみません。

「求めているのは慈悲ではない」ウクライナ・メディアで働く女性たちが語る非常事態下のエンタメ、子供向け番組の必要性_img1
 

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