顎クイや壁ドン……王道の胸キュンを描いてきたTBS火曜ドラマで、久しぶりに大人向けのラブストーリーが始まりました。今回紹介するのは、上野樹里さん主演の『持続可能な恋ですか?〜父と娘の結婚行進曲〜』(TBS系/以下『じぞ恋』)です。

『持続可能な恋ですか?〜父と娘の結婚行進曲〜』

本作は、ヨガインストラクターの娘・沢田杏花(上野樹里)と、辞書編纂者の父・林太郎(松重豊)が、“ダブル婚活”をしていく物語。ただ、自分のヨガスタジオを持つという夢に邁進している杏花は、「この身体、頭、気持ち……私の全部を、やりたいことのために使いたい。結婚している暇なんてない」と結婚に対して、どこか後ろ向きです。2年前に亡くなった母が、父の世話を甲斐甲斐しくしている姿を見てきたから、「結婚=負担が増える」というイメージを持ってしまったのかもしれません。

そんな杏花が、父に巻き込まれる形ではじめた婚活を通して、“結婚”について考えていくように。その先に待つゴールは、結婚なのか。それとも、夢に邁進する人生なのか。『じぞ恋』は、「そもそも、人はどうして結婚するのか?」というところまで掘り下げて、“誰かとともに生きること”の意義を教えてくれる作品になりそうです。

 


不器用な田中圭 vs 天真爛漫な磯村勇斗 あなたはどっち派?


杏花と出会うことになる魅力的な男性陣も、作品に彩りを添えています。

1人目は、企業セミナーで出会った東村晴太(田中圭)。晴太はまさに、ファンの夢を具現化したようなキャラクター。「こんな田中圭が見たかった!」と思っている人も、多いのではないでしょうか。傘をささずに雨のなかに飛び出して行ったり、人参が食べられなかったり……。子どもみたいで、とにかく可愛いんですよね。それなのに、実はバツイチで、息子をひとりで育てているというギャップもいい。

第2話で、「好きな人はいる」と言った杏花の、“好きな人”とは、おそらく晴太のことなのでしょう。食事に行って、仕事や家族の話をして、時には愚痴をこぼしたり。2人は、友だち以上恋人未満のいちばん良い時期を過ごしています。お互いに、結婚に興味がないからこそ、落ち着けるのかもしれません。本気で好きになったら、その先にある結婚を意識する可能性もありますが、結婚相手の面倒さえも見たくない杏花にとって、息子がいる相手との結婚は、二の足を踏んでしまう気も……。

となると、やはり幼なじみの不破颯(磯村勇斗)がしっくりきますよね。彼にとって杏花は、初恋の相手なので、特別な感情を持ってくれています。5歳年下ではありますが、海外生活をしていたため、英語がペラペラで知識も豊富。亡くなった母の思い出を、一緒に共有できるところもいいです。

そして、晴太とは異なる可愛さを持っているのも、彼の魅力。年下ならではの、天真爛漫さというのでしょうか。もうね、杏花への好き好きアピールがすごいんです。杏花のヨガのレッスンを受けて、「最高だった! 杏花ちゃんが!」なんて言われたら、絶対に好きになってしまう……。お好み焼き屋さんに行った時の会話もいいんですよ。

颯「糖質脂質にソースの粉もん、いいの? ヨガインストラクターが食べちゃって」
杏花「今日は、私が本当に好きなものを食べたかったの」
颯「じゃあ、これからは俺と禁断の好きなものを食べに行こう。そしたら、俺と会うの楽しみになるでしょ?」

……思わず、頬を緩ませてしまうほどの可愛さ。しかも、「じゃあ太るから、あんまり会えないね」と言われて、「じゃあ、そばでも食おう!」と返すのが、また可愛い。ただ、なぜかあざとく見えない! 演じている磯村勇斗さんの絶妙なサジ加減に、脱帽です。

しかし、杏花が惹かれているのは、晴太なんですよね。本心があまり見えないからこそ、“もっと知りたい”欲を掻き立てられるのかもしれません。ただ、彼には隠している“闇”があるような気も……。果たして、杏花が選ぶのはどちらなのでしょうか。現代的な価値観をテーマとした作品なので、籍は入れずにパートナーという形に落ち着くのも、ありかもしれません。ありきたりなキュンはないけれど、大人の恋ならではの焦ったさに、ほっこりさせられる。毎週火曜日、リアタイ確定です!
 

 


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