BTSのジミンが語ったエッセイの魅力とは?

 

BTSのジミンが言及したことで注目を集め、韓国でベストセラーとなった話題のエッセイ『死ぬより老いるのが心配だ 80を過ぎた詩人のエッセイ』。筆者はBTSの熱心なファンではないにもかかわらず、ジミンが言及したということで一度読んでみたいと思っていました。なぜなら、まだ20代のジミンが80代のアメリカ人男性が書いた本書のどこに惹かれたのかとても気になったから。

 

そこで興味津々に本を開いてみたのですが、正直なところちょっと面喰らいました。文章が全体的に淡々としていて、あっさり読み終えてしまったからです。でも、本書の真骨頂は読み終えたあとの余韻かもしれません。長い年月をかけてろ過され、ミネラル分だけを豊富に含んだ石清水のごとく、本書の著者ドナルド・ホール氏の言葉がじんわりと心に染み入ってきたからです。

彼が本書で書きつづった自身の心境や老いの現実は決してポジティブなものではありませんが、詩人ならではのユーモラスな表現のおかげで卑屈な気持ちになることなく読み進められました。そしてなにより、感情に流されることなく、老いた自分をありのまま見つめようとするホール氏の凛とした姿勢に筆者は感動を覚えました。実はこれって簡単そうでなかなかできないことですよね。

今回は、ホール氏が全人生を振りかえった本書のなかから、「老い」について言及した部分を中心にご紹介したいと思います!