日常で感じる「ちょっとした違和感」について井戸端会議していくこの連載。ウェブマガジン「ミモレ」とその読者コミュニティ〔ミモレ編集室〕に寄せられた皆さんのモヤモヤエピソードをご紹介していきます。

今日のテーマは、職場や親族の集まりでやってしまいがちなモヤモヤ行動です。

「私が若い頃はね...」にシラケる後輩たち。昔話は役に立たない?_img0
 

 

「時代が違うので!」と昔話をシャットアウトされました


エピソードをご紹介くださったのは、娘さんも社会人になったというルミコさん(教師・54歳)。

大学卒業後、ずっと教師一筋で働いてきました。若い先生や悩んでいそうな先生には積極的に声をかけて話を聞き、自分の経験に基づくアドバイスもしています。

コロナ禍で、授業のあり方は大きく変わりました。緊急対応を求められることも多く、教師の現場もかなりピリピリしています。会議も重苦しい空気になりがちで、先日つい、「昔はもっと教育現場もゆとりがあったのにね」「私が若かった頃は、子ども一人一人の表情を見るところから始めたものだけれど」と発言してしまいました。

先生たちの発言が視野の狭いものになっている気がしたので雰囲気を変えようと思ってのことだったのですが、司会をしていた30代の先生から「時代が違うんです!」ときつく返されてしまいました。

社会人の娘にこの話をしたところ、「昔話をする先輩って正直うざいな~」とのこと。パソコンの使い方などは若い先生方に教えてもらうことも多いので、私は私で経験をもとに皆さんに貢献したいのですが、伝え方が難しいなと思わされました。

 


役に立つ昔話と、嫌われる昔話


空気を変えようとした発言に反発されてしまったんですね……。よかれと思って言ったことを「昔話」と決めつけられてしまうのはショックですよね。

先輩の体験談や年長者としての思慮の深い意見は、経験の浅い後輩にとって役に立つものであるはず。しかし、「私は若い頃こんな大きな仕事をした」とか「昔はワークライフバランスなんて気にせず思いっきり働いたものだ」みたいな昔話は、聞いている方をげんなりさせる可能性があります。

では、「役に立つ昔話」と「嫌われる昔話」は、いったい何が違うのでしょうか?

後輩の気持ちになって考えると、「自分たちのことを考えて話してくれている」と感じられるかどうか、ではないでしょうか。

ただ自分が話したいだけの昔話は、後輩からすれば「この話から何を学べばいいの?」と思ってしまうかも。一方で、その場にふさわしいエピソードを選び、自分が当時何を学んだか、後輩にとって参考になりそうなポイントはどこかを説明してあげれば、その昔話は「ストーリーつきの分かりやすいアドバイス」になります。

ルミコさんの昔話も、「参考にしてほしい学び」まで踏み込んで話していたら、その思いが後輩たちに伝わったかもしれませんね。

 
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