日常で感じる「ちょっとした違和感」について井戸端会議していくこの連載。ウェブマガジン「ミモレ」とその読者コミュニティ〔ミモレ編集室〕に寄せられた皆さんのモヤモヤエピソードをご紹介していきます。
今日ご紹介するのは、母娘の会話でのモヤモヤエピソードです。
「恥じらいをもってね」と言って、娘に怒られてしまいました
エピソードをお寄せくださったのは、もう独立された息子さんと実家暮らしの娘さんを持つヤヨイさん(55歳・公務員)。
社会人3年目の娘の話です。夫と同じ業界に就職したので、家でよく夫と仕事の話をしています。仲が良くていいことなのですが、職場の文化や同僚を評して言うことが辛辣で、その癖自分の至らなさには鈍感のように見えて仕方がありません。「こんな古臭いこと言われたから、私言ってやったの」「さくっと謝ればたいがいは大丈夫だから」家では強がって言っているだけなのかもしれないと思いつつ、つい「もっと恥じらいをもってね」と言ってしまいました。
それが娘の琴線に触れてしまったようで、強い口調で「お母さんそれいつも言うけど、やめて」と。さらに、「お兄ちゃんには“恥じらい”なんて言わない癖に」とも言われ、「同じように言わないだけで、お兄ちゃんにも同じことを思っているよ」と返したのですが聞く耳を持ってもらえず、以来険悪な状態が続いています。
私の言葉にジェンダーバイアスを感じたのだろうと、振り返って反省しています。もっとうまく伝えられたらよかった。言葉選びって難しいです。
息子にかける言葉、娘にかける言葉
娘さんは、今まさに社会で戦いはじめているところなんですね。いろいろな理不尽を感じながらも、自分なりの正義やプライドを守ろうと奮闘している様子が伝わってきました。
そして恐らくですが、そんな娘さんが特に敏感になっていることの一つが「ジェンダーバイアス」なのかもしれません。
社会に出ると、学生時代の評価とは違い、勉強の成績という分かりやすい指標が取り払われてしまいます。「自分はどんな基準で評価されるのか」を考えたときに、性別の違いによる扱いの差はないだろうかとセンシティブになることもあると思います。
娘さんがひっかかったのは、「恥じらい」という言葉自体だけでなく、「お兄ちゃんと自分では、お母さんからかけられる言葉が違う」ということのようですね。
ヤヨイさんご自身も書いている通り、「恥じらい」は娘さんに対してだけ使う言葉で、その裏にはジェンダーバイアスがあったのかもしれません。息子さんには例えば、同じシチュエーションでも「もっと謙虚にね」という言葉を使っていたとか。
このように、同じことを伝えたいときでも相手が女か男かで使う言葉が変わるということはよくありますね。女の子には「かわいい」と言い、男の子には「かっこいい」と言う。気配りできる男性に「男子力あるね」とは言わない。育児を頑張る女性に「イクウーメン」とは言わない……。
言葉選びって難しい。ヤヨイさんのおっしゃる通りです。でも、言葉を注意深く選ぶというのはとても大事な習慣です。自分が何気なく発した言葉によって誰かを傷つけたり、社会の歪みを深めたりしないようにしたいですね。
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