いつも通りの夏の日曜日に、突然の脳卒中で倒れたフリーライターの萩原はるなさん。救急車で急性期病院に運ばれ、予兆も準備もまったくないまま入院生活が始まりました。
なぜ自分に、こんなことが起こったの? 後遺症は? 突然の事態に自分なりに向き合いながら、治療やリハビリに励む日々をレポートします。
連載第1回 48歳2児の母、突然脳卒中で倒れた日「右手右脚が動かない」>>
連載第2回 脳卒中で倒れた48歳女性のリアル入院生活「仕事、家族は?思い当たる原因は?」>>
「自分の予測される今後」を徹底リサーチ!
一般病棟に移って、2日がたったころ。それまでは寝たり起きたりを繰り返していましたが、ずいぶん思考がクリアになってきました。
運び込まれたときは、ビーチボールバレーに参加していたTシャツ&短パンのままの身ひとつ。気づけば着替えさせてもらった病院着を着ており、歯磨きセットやタオルといった必需品は、すべて病院が用意してくれたものか、レンタル品でした。
入院生活を送るうえで、最低限必要なものは揃っていましたが、それだけでは潤いが足りないというもの。このころは、デルタ株が猛威を奮っていたタイミングだったので、家族とはまったく面会ができていませんでした。けれども3日に一度ほど、夫や母に「差し入れ便」を届けてもらっていて、その到着を心待ちにしていたものです。
オーダーはもっぱらLINEで。まず真っ先にお願いしたのが、文庫本です。こんなにゆっくり好きな本が読める機会なんて、子どもを産んで以来、10年以上なかったかも。気になっていた本を根こそぎチェックし、リストを夫に送りました。
とはいえ、私のベッドは窓側ではなかったので、カーテンをひいてしまうと暗くて仕方がありません。老眼が進行中の私、「もしできたら、窓際の方が退院したタイミングがあれば移動したいです」と看護師さんに懇願したのでした。
最初のころこそすぐに疲れてしまいましたが、日々、読書時間が延長。後から聞いたことですが、この読書が脳の回復にはとてもよかったようです。
そして同時に、「この先、私はどうなるのか?」をリサーチ。同じくライターである夫も脳出血の予後について調べまくったらしく、「脳卒中後の回復曲線」というグラフが送られてきました。
そのグラフによると、脳梗塞や脳出血などの脳卒中では、発症後3ヶ月間は回復期、その後は維持期とされているそう。回復期は脳の神経が自然に回復する時期で、この時期からリハビリすることが、とても大切だといいます。
「これから6ヶ月が勝負やって!頑張ろう!」という夫の言葉どおり、発症後6ヶ月以降は、回復曲線がほぼ横ばいになっていました。これは心中穏やかではいられません。
また、年齢別の回復率を見ると、高齢者よりも若い世代のほうが順調に回復していく様子。ただし、若い世代でも曲線は「100%」の目盛りにまで達していません。「そうか、私は完全には治らないのか」と思うと同時に、「でも、以前に近い状態に戻っている人はたくさんいる! ならば、それを目指そう」と決意を固めたのでした。
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