「愛とは行動なのよ」。オードリーの言葉の重要性
20代で突如大スターとなったオードリーが、出産や育児を機に女優業を休むという決断をしたことについても話題に上がりました。
大日方:オードリーを強いと感じました。自分だったら「これを手放したら、二度と戻れないんじゃないか?」と思ってしまいます。
犬山:私も妊娠したとき、産後に復帰したいと考えていたけど、産休が明けたら仕事がないんじゃないか? と不安でした。
オードリーの場合はきっと、お父さんに対する寂しさ、愛への渇望が家族への憧れになり、見捨てられることへの不安が彼女を家庭に向かわせたのかな? 子を持とうと思った人が、どうしたいか選択できる状況が大切。それができる状況であってほしいけど、オードリーはそれをあの時代にハリウッドでやってのけた。とてつもない意志の強さだと思います。
さらにお二人は、コロナ禍やウクライナの現状などで心が弱り、他人に“愛”や優しさを与える気持ちの余裕がなかなか持てない現代にこそ、オードリーのメッセージが重要だと呼びかけました。
犬山:うちの子どもが『イッツ・ア・スモールワールド』で「世界はひとつ」と歌うんですけど、大人としてはふがいない気持ちです。世界は戦争をしてるし、ひとつじゃない……と罪悪感を感じます。オードリーも「罪悪感がある」と語っていました。こんな社会で何ができるか? と無力感を感じてしまいますが、だからこそオードリーの活動は尊い。
本当は彼女が活動しなくていい世の中が望ましいけど、そうじゃない現状がある。そこで声を上げること、政治を声で動かすことが大事だと思います。ウクライナの現状を見越して作られたわけじゃないけど、いま一番必要な映画なんじゃないか? いまこそオードリーのメッセージが一番伝わるときなんじゃないか?と思います。
大日方:私自身、決めているのは、人を幸せにするとか、愛を与えるとかの大前提として、自分を一番大切にしようということ。自分への愛を忘れず、自分を愛おしく大切にしようと。それができた上で、やっと人に優しさや愛を出せると思います。
トークの最後に犬山さんは、オードリーが歌う『ムーン・リバー』、そして彼女が自身のコンプレックスについて語るシーンを見どころのポイントに挙げつつ「ぜひオードリーを身近に感じて、自分の中の小さな変化を大事にしてほしいと思います」と語りかけました。
大日方さんは、もう一度オードリーが発した「愛とは行動なのよ」という言葉に言及。
大日方:みなさんなりの受け止め方で、(この言葉を)心にスッと入れて、帰っていただき、それぞれの愛のある行動をしていただければ、それだけで、自分が豊かな気持ちになる瞬間を感じられると思いますので、ぜひ行動に移していただければ嬉しいです。
美しく華やかな女優としてのオードリーの姿と、「無条件で愛するだけよ」という言葉とともに優しい表情で子どもを抱きかかえる姿。晩年、ユニセフ親善大使として人生を捧げたオードリーの人生がいま、解き明かされるーー。
『オードリー・ヘプバーン』は5月6日(金)より、TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamura ル・シネマ他全国ロードショー。
<映画紹介>
『オードリー・ヘプバーン』
絶賛公開中
STAR CHANNEL MOVIES
©️2020 Salon Audrey Limited. ALL RIGHTS RESERVED.
幼少期に経験した父親による裏切り、ナチス占領下のオランダという過酷な環境で育った過去のトラウマ、奪われたバレエダンサーへの夢、幾度の離婚……劇中では、過去の貴重なアーカイブ映像とともに、近親者によって語られるインタビューによって、これまで隠されてきたオードリーの一人の女性としての姿が描き出されていく。晩年は、ユニセフ国際親善大使として自身の名声を善のために尽くし、慈善活動を通して大勢の人たちに癒やしと救済をもたらした。本作では、リチャード・ドレイファスやピーター・ボクダノヴィッチ監督ら俳優時代の仲間、そして息子や孫、家族ぐるみの友人など、プライベートに迫るインタビュー映像、貴重な本人の肉声によるインタビューがふんだんに盛り込まれ、愛情と寛容の力の証として存在する、極めて特別なひとりの女性の姿を、鮮やかにスクリーンによみがえらせている。
監督:ヘレナ・コーン
キャスト:オードリー・ヘプバーン、ショーン・ヘプバーン・ファーラー(オードリーの長男)、エマ・キャスリーン・ヘプバーン・ファーラー(オードリーの孫)、クレア・ワイト・ケラー(ジバンシィの元アーティスティックディレクター)、ピーター・ボクダノヴィッチ(アカデミー監督賞ノミネート)、リチャード・ドレイファス: アカデミー賞受賞俳優 (『アメリカン・グラフィティ』、『ジョーズ』)他
振付:ウェイン・マクレガー
バレエダンサー:アレッサンドラ・フェリ、フランチェスカ・ヘイワード、キーラ・ムーア
100分/2020年/イギリス/5.1ch/ビスタ/字幕翻訳:佐藤恵子/原題:“Audrey”
配給:STAR CHANNEL MOVIES 協力:(公財)日本ユニセフ協会
© 2020 Salon Audrey Limited. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト:audrey-cinema.com
公式Twitter @audrey_cinema
構成・文/山本理沙
前回記事「「羨ましいような、一言嫌味を言いたいような...」ドラマ『金魚妻』を観た視聴者たちの本音とは? 」はこちら>>
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