熱血教師が、やる気のない不良たちを更生させていく……。教師が主役の学園ドラマと聞くと、大抵の人が「夕日に向かって、みんなで走ろうぜ!」的なストーリーを思い浮かべると思います。オーソドックスな作品を挙げるとすれば、『3年B組金八先生』(TBS系)でしょうか。金八先生(武田鉄矢)は、どんなにウザがられても、生徒を絶対に見捨てない。出来の悪い不良生徒を、“腐ったみかん”と邪険にする大人たちにも、「私たちは、みかんを作っているのではない。人間を作っているんだ!」と立ち向かっていきます。思春期に、こんな先生と出逢いたかった!
平成に入ると、『GTO』(フジテレビ系)や、『ごくせん』(日本テレビ系)のように、昔は悪かった主人公が教師になり、生徒とぶつかり合っていくドラマが量産されるようになります。『ROOKIES』(TBS系)の川藤(佐藤隆太)など金八イズムを受け継いでいる主人公もいますが、やっぱり型破り教師の存在感がすごかった。だって、『ドラゴン桜』(TBS系)の桜木(阿部寛)なんて、バイクに乗ったまま廊下を爆走するんですよ……。金八先生なら、絶対にしない行動ですよね。上の立場から、「やめなさい」と制するよりも、「この人には、敵わねえ!」と思わせる。どちらかと言うと、兄や姉のように寄り添い型の教師が人気を博すようになりました。
ただ、どの教師にも共通しているのが、“前向き”なこと。金八先生は、「どんな生徒も、必ず更生するはず」と信じているし、『GTO』の鬼塚はポジティブな考えの持ち主。『ごくせん』のヤンクミも、人生を楽しんでいるように見えます。
しかし、今回ご紹介するドラマ『未来への10カウント』(テレビ朝日系)の主人公・桐沢(木村拓哉)は、かなーり後ろ向きな非常勤講師なんです。ドラマ開始2分で、「俺、長生きなんてしたくない。いつ死んでもいい。なんなら、今日でもいい」とネガティブ発言。木村拓哉さんと言えば、『プライド』(フジテレビ系)や、『HERO』シリーズ(フジテレビ系)など憧れを呼ぶ役柄が多いイメージですよね。そんな彼が、生きる希望をなくして、デリバリーピザのバイトで生計を立てている。これは、新たなキムタクが見られるのでは……? と一気に引き込まれました。
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