テレビドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(21年/カンテレ)のコメディとペーソスが合わさったような豊かな演技で私たちを魅了した松たか子さん。2019年に上演された舞台『Q』:A Night At The Kabukiに再び挑みます。

野田秀樹さんがQUEENの名アルバム『A Night At The Opera』の世界観をシェイクスピアの代表作『ロミオとジュリエット』をベースに描いた壮大な物語で、舞台を源平合戦の時代に置き換え、悲劇の死を迎えたロミオとジュリエットが生きていたら? と“その後の物語”を描きます。

若き日のロミオ(平の瑯壬生ろうみお)とジュリエット(源の愁里愛じゅりえ)は志尊淳さんと広瀬すずさんが演じ、それからのロミオ(瑯壬生)とジュリエット(愁里愛)を上川隆也さんと松たか子さんが演じます。松さんのそれからの愁里愛は大人のたくましさやユーモアを発揮しながら、時折少女時代のピュアさも見せ、松さんは絶妙な塩梅で生き残った愁里愛の悲喜劇を演じます。

この3年の間にコロナ禍をはさみ様々な変化を心身に感じながら仕事もプライベートも過ごしてきた松さん。その感覚が再演にどんな作用をもたらすでしょうか。

 

「若くキラキラと輝く」広瀬すず×志尊淳
「強いエネルギーを放つ」松たか子×上川隆也


大作『Q』を再演すると聞いて、松さんは少なからず身構えたと言います。

松たか子(以下 松):『Q』はとてもエネルギッシュに動く作品だったので、再演すると聞いたとき、あのときのエネルギーをもう一度振り絞るのみならず、さらに上を目指すパワーが必要だと感じて、緊張感を覚えました。

 

なかには再演よりも新作をやりたいと考える俳優もいると聞きますが、松さんはそういう意識はないそうです。

松:基本は新しいものに挑戦したい気持ちはありますが、別に再演を避ける気持ちはないです。こればっかりは俳優が再演したいと思ってもできるものでもなく、お客様がもう一度観たいと思ってくださって実現することなので、チャンスをいただけたことに感謝しています。しかも、初演のキャストが全員そろうなんて滅多にないことです。アンサンブルに新しいメンバーも加わって、よし、がんばらないと! と思います。

観るほうも演じるほうも熱望するほどの『Q』。その作品の魅力を松さんはこう語ります。

松:若きロミオ(平の瑯壬生)とジュリエット(源の愁里愛)の恋を中心にして物語が進んでいくので、彼らの輝きがとても重要だとは思います。彼らが輝けば輝くほど、上川さんと私の“それから”のチームがわちゃわちゃ、自由に動き回れる感じがします。若くキラキラしたふたりのまわりを、野田秀樹さん、竹中直人さん、橋本さとしさん、羽野晶紀さん、小松和重さん、伊勢佳世さんなど有象無象の(笑)大人たちが囲み、ものすごく強いエネルギーを放って。その熱量を楽しんで観ていただきたいと思います。

長年舞台で培ってきた技能をふんだんに発揮する松さんと上川さん、そのコンビネーションプレーがとても楽しそうです。