要介護認定を受けていると、さまざまなサービスを受けられます。そのうちの1つ「福祉用具貸与」は、車いすや歩行器など、介護者の負担を軽減してくれる用具を必要な期間だけレンタルできるサービスです。今回の相談者・奈々さんは、二世帯住宅を建てて義母と一緒に暮らしていますが、夜間のトイレがきっかけで介護用ベッドを購入しました。ですが購入後に近所の方に話を聞くと、介護保険を使ったレンタルでも良かったのではという想いが芽生えてきて……。少し話を聞いてみましょう。

 


夜間のトイレがきっかけで介護ベッドを購入


二世帯で同居している夫の母は要介護3で、近頃いろいろなことがままならなくなってきました。車いす生活ではありませんが、1人で歩くのは不安ということで、手すりや歩行器を使って歩いています。

中でも夜間のトイレには困っているようで、最近私が同じ部屋に寝てトイレに付き添うようになりました。夜は念のためリハビリパンツを履いてもらっているので、間に合わなければそのまま排せつしてもいいよと伝えていますが、気持ちが悪いようで毎回私を起こします。でも私1人では抱きかかえて起こすのが大変で。夫に相談したところ、介護用ベッドを買うことになりました。

ベッドを買ってからというもの、義母の機嫌はすこぶる良くて、そのことをご近所さんに話したんです。するとこんなことを言われてしまって……。

「私が介護をしていたときは、電動ベッドは高くて手が出なかったの。普通のベッドで介護をしていたけれど、食事のときは背もたれを工夫したり、排せつ処理に失敗してマットレスを汚して買い替えたりと、とにかく大変だったのよ。それに看取り後のベッドの処分も大変でね。でも今なら介護保険の福祉用具貸与を使って気軽にレンタルできるから心配いらないわね。レンタルだったら体の状態に合わせて借り換えられるでしょ?」

そう言われて私はハッとしました。義母は常々「人のお古は嫌だ」と言っていたので、レンタル品は最初から視野に入れていませんでした。でも今さらながら、もっと吟味すべきだったのではとモヤモヤしてきたのです。

 
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