生まれつき脳の機能の発達がアンバランスなため、社会生活に支障をきたすこともある「発達障害」。近年その存在が広く知られるようになりましたが、具体的にどんな症状があるのでしょうか?

ももクロの百田夏菜子さん主演で6月4日に放送開始されるドラマ『僕の大好きな妻!』の原作『僕の妻は発達障害』。発達障害を持つ妻と、彼女を見守り共に暮らす夫のストーリーです。

漫画家のアシスタントである北山悟が帰宅すると、いつものように笑顔で出迎えてくれる妻が出てきません。かすかに聞こえてくるうめき声。リビングに入ると妻がひっくり返っていました。

【百田夏菜子さんドラマ化】「私、変かも」彼女が接客業を選ぶ切ない理由『僕の妻は発達障害』_img1

 

発達障害と診断されている妻の知花。体が熱くなり、頭がぐるぐるして倒れてしまったのだとか。病院に行く途中の話をはじめる彼女を制し、「その薬はまだ飲むの?」と訊ねる悟に答えた後も、彼女はしゃべり続けます。

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妻というより、親に話を聞いてもらいたくてしかたない子どものような振る舞いの知花ですが、出逢った時には今とは全然印象が違っていました。

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話をしていても、隙のない印象を受けた悟。何回か会ってわかったのは、これは彼女の自己防衛の手段だったということ。きちんとした格好や隙のない言動の裏にはある思いが。

私、変かもしれない
また怒らせるかも?
見た目だけでもちゃんとしないと

自分は「変かもしれない」と感じる知花の日常から、発達障害の人の特徴がだんだんわかってきます。

たとえば、冒頭のシーンのようにおしゃべりのコントロールができず脈絡なく話し続けてしまうところ。唐突に話題が変わり、しゃべりたいという衝動を抑えられず一方的に話し続ける知花。でも、彼女のおしゃべりは悟にとってはうっとおしいものではなく、興味を惹かれるものでした。

一方で、人の多い場所での会話が苦手という特徴も。

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聴覚には問題がないのに、必要な音や話を選んで聴き取ることができないのです。

出逢った頃、デパートでアパレル販売員をしていた知花でしたが、結婚して発達障害と診断された後は引きこもっていました。そんな彼女が再就職をする4話。初出勤から帰ってきた彼女に、なんで販売職なの? と悟が聞くと彼女は答えます。

きちんとするため!

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「アパレルなら勉強になるかな、って」と明るく答える姿に、世間に馴染もうとする彼女の努力が感じられるのです。久しぶりの仕事に張り切るも、再就職先では暗雲が立ち込めます。

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大きすぎる声で、接客の後はぐちゃぐちゃのままの棚。片づけをしていても、お客さんが来ると商品をそっちのけで接客を開始。いつまでたっても片づかない⋯⋯。見かねた店長に裏で在庫整理をするように指示されますが、そこで最大のトラブルを起こしてしまうのです。

発達障害を持つ当事者はどう感じているのか? にフォーカスを当て、本人だけが抱く悩みや苦労を表現した本作。明るく振る舞っているからといって何も考えていないわけではない。本人なりに一生懸命に考え行動しているつもりが、周囲に迷惑をかけている事実。知花のこの言葉が、発達障害の「客観的な想像ができない」という特徴を表しています。

私がなにかしたんだと思うけど
何が悪かったのかわからない

本作が連載されているコミックバンチwebのコメントには「私も(知花と)同じ行動をしてしまいます」「発達障害の家族がいますが『あるある』です」といった声が寄せられていて、知花のような人が悩んだり苦しんだりしているのを知ることができます。

そして、「定型発達」の人間は、発達障害の人をどうとらえたらいいか、ヒントも与えてくれます。「定型」である悟は知花をこんなふうに想っているのです。

確かに変だ!
でも僕は変でいいと思う
僕だって大した人間じゃない お互い様なんだ

「お互い様」=お互いに迷惑をかけたりかけられているのだ、という感覚。知花の主治医は「この世界には誰が正解で、誰が間違っているということは本当はない」と彼女に伝えています。正解・不正解をジャッジしないこと。そうすれば、知花のおしゃべりを面白いと感じる悟のように「変でいいと思う」と違いを受け入れられるようになれるのかもしれません。

 

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『僕の妻は発達障害』
ナナトエリ (著), 亀山 聡 (著)

僕、北山悟(30)は漫画家のアシスタント。妻の北山知花(32)は発達障害。ふたりの生活はいろんな問題があるものの、折り合いをつけながら、毎日を過ごしている。

 



作者プロフィール 

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ナナトエリ/亀山聡
漫画家夫婦。二人名義では、『アナグマの気持ち』(週刊モーニング)がデビュー作。月刊コミックバンチにて『僕の妻は発達障害』(監修:四宮滋子/医学博士)を執筆中。
Twitterアカウント:
ナナトエリ @nana_to_eri
亀山聡 @KasukabeAQ


構成/大槻由実子
編集/佐野倫子

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