いつも通りの夏の日曜日に、突然の脳卒中で倒れたのは、48歳2児の母でありフリーライターの萩原はるなさん。救急車で急性期病院に運ばれ、予兆も準備もまったくないまま入院生活が始まりました。

なぜ自分に、こんなことが起こったの? 後遺症は? 突然の事態に自分なりに向き合いながら、治療やリハビリに励む日々をレポートします。

 

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入院期間は4ヶ月以上!? 意外な発言の数々に驚愕


蝉の声に追い立てられるようにして、リハビリ病院に転院した私。久しぶりに会った夫と一緒に、広々とした診察室に案内されました。室内には、車の運転席とモニターを完備した、立派なドライブシミュレーターが設置してあります。

大きな丸いテーブルに車イスをつけてもらい、夫と待つこと5分少々。ケアマネージャーさんと看護師、そして担当ドクターが次々と部屋に入ってきました。「この3名が佐野さん(私の本名)の担当になります。これから、リハビリ頑張っていきましょう」と、ショートヘアのドクターがハキハキと挨拶してくれました。

今の体の状態を見るべく、先生はひざを小さな金槌で叩いたり、羽根で腕に触れたりとチェックを続けます。脚は少しひざが伸ばせる程度で、腕はひじが何となく曲げられるかな〜、というくらい。

私の現状を確認し、先生が一言。
「これから復帰に向けてリハビリをしていきます。期間は4ヶ月から5ヶ月が目安ですね」

なに〜〜〜〜〜〜〜!! 急性期病院で「リハビリ病院で2ヶ月ほどの入院」と言われ、すっかりそのつもりでいた私。9月の息子の誕生日は無理でも、11月の娘と夫の誕生日には、きっと帰れると思ったのに。最悪、クリスマスや年末年始も家族と過ごせないかもしれないの……1?

転院先の自分のベッドでひと休み。写真では右脚は真っ直ぐのままだけど、わずかな間だけひざが立てられるようになっていました。ショーパンとはいえ、自分の服が着られてうれしい私。

隣で絶句している夫と、無言で顔を見合わせてしまいました。そんな私たちに、先生の口からさらに衝撃の一言が……!

「これからリハビリをして、車イスから立てるようにしていきましょう。きっと家の中では、杖をついて歩けるようになると思いますよ。ただおそらく、退院後に一人で外出するのは難しいでしょう」

そう聞いた途端に、脳裏に近所の川沿いの散歩道や、銀座や表参道の街並みが浮かんできます。私は一生、一人でぶらぶら散歩やショッピングに出かけることはできないのか……。

「あんな顔、初めて見た」と後から夫に言われたくらい、私はかなりのショックに見舞われていました。