人生の後半だからこそ可能性は開けてくる。50代だからこそ組織や縁故にとらわれることなく、自由に仕事や人間関係を選択できる。そう教えてくれるのは、作家・有川真由美さんの著書『50歳から花開く人、50歳で止まる人』です。

やってみたいことがあるけれど、年齢を考えて二の足を踏んでしまう。自分には“○○の仕事しかできない”と思い込んでいる。そんなふうに、現状を変えたくても一歩踏み出す勇気が持てない人たちに対して、「ある気持ち」を育ててみて、と有川さんは語りかけます。今回は本書から、50歳からの足取りがちょっぴり軽くなるような、キャリアと人生の歩き方について、特別にご紹介します。

 


「お金にならない」と避けていないか


「定年後は農業をやりたいんですけど、儲かりそうにないから悩んでいます」
と言っていた人がいました。
「儲からないなら、やらないんですか?」と聞くと、
「やりたくても生活できないなら、あきらめるしかないでしょう。この年で失敗はしたくありませんし」と苦悩の表情。

 

こんな悩みは、若者からも聞くことがあります。「イラストレーターになりたいが、成功率は低い」「動物に関わる仕事をしたいが、賃金が低い」というように。

「お金になるなら、やる。お金にならないなら、やらない」というなら、それは心からやりたいことではないのかもしれません。

やりたいことなら、仕事になるかどうかはともかく、一度はやってみたらいいではありませんか。「農業をしてみたい」と思うなら、週末農業や家庭菜園からでもやり始められるはずです。


「好きなこと」「やりたいこと」は案外、いい加減なもの

 

最初から「好きなこと」と「収入」を同時に満たそうとするのは、無理があります。まず、「仕事」を目的別に3つに整理してみましょう。

 ●「ライスワーク」……ご飯を食べるため、生活のための仕事
 ●「ライクワーク」……好きなことで心の充足を得るための仕事
 ●「ライフワーク」……やりがいや使命感をもって追求していく仕事

 
20代は生きていく基盤をつくったり、30代、40代では家族がいたりして「ライスワーク」が最優先だった人も、50代以降は「ライクワーク」を求めるようになります。

しかし、「好きなこと」「やりたいこと」というのは、たいへん曖昧で、「仕事にしたら嫌になった」「向いていなかった」ということも多々あります。「やりたいこと」の独り相撲では、踏ん張りもきかず、継続もむずかしいものです。

反対に、なりゆきでやり始めた仕事が、生きがいになっていくこともあります。