日常で感じる「ちょっとした違和感」について井戸端会議していくこの連載。ウェブマガジン「ミモレ」とその読者コミュニティ〔ミモレ編集室〕に寄せられた皆さんのモヤモヤエピソードをご紹介していきます。

今日ご紹介するのは、職場で自分の立場が変わったことによって生まれたというモヤモヤエピソードです。

「先週と言ってることが違いません?」部下の冷ややかな視線に、上司はどう対応する? _img0
 


「先週と言っていることが違いません?」メンバーからの指摘にヒヤヒヤ・モヤモヤ


エピソードをお寄せくださったのは、最近職場でチームリーダーになったというユミさん(37歳・公務員)。

公共施設の窓口で、利用希望者の対応をする仕事をしています。この春からチームリーダーに昇格し、5人のメンバーのまとめ役になりました。

もともと実質的にはリーダーのような仕事をしていたので、特に問題なくリーダー職をこなせると思っていました。メンバーたちも、「ユミさんがリーダーなら安心」と太鼓判を押してくれていました。しかしふたを開けてみたら、そんなに簡単なことではないと痛感中です。

「リーダー的存在」だった頃は、「上の指示がぶれるのは困るよね」「利用者が窓口で言ってくることには、理不尽なことが多いよね」と他のメンバーと共感し合えていました。しかし実際にリーダーになってみると、見える景色が少し違うんです。

上の方針がぶれているように感じるのも、社会情勢や施設の将来のことを考えた理由のあるものだったり。クレームのように聞こえる利用者の声の中に、自分たちのサービスを顧みる大切な指摘が含まれていたり。

私としては発見ばかりで、一つ一つ納得しながら指示を出しているつもり。でもメンバーたちからは、「ユミさん、言ってることがどんどん変わる」「リーダーになると変わるね」という視線を向けられています。

 


業務は生きもの。朝令暮改は悪いことじゃない


ユミさんのモヤモヤ、お仕事に限らず様々な場面で同じように感じている方がいそうですね。たとえばお子さんの教育について、コロナ禍での暮らし方について、「昨日と今日で『こうしたらいいんじゃないか』と思うことが変わる」ことはよくありそう。皆さんはいかがですか?

まず、いちメンバーからリーダーになって、視点が変わったり視野が広がったりしていることを素直に受け入れているユミさんが素晴らしいです。慣れたやり方を変えずに、人と軋轢を生まないように仕事をしたいというのが、きっと多くの人の本音。易きに流れず、「私としては発見ばかりで、一つ一つ納得しながら指示を出している」というユミさんは、変化に対応できる柔軟性があるのだと思います。


どんな業務も組織も、生きものみたいなものです。環境も、サービスの利用者も、サービスを提供する従業員も、どんどん変わっていきますよね。

そんな中で、変化を素直に受け入れて、そのときそのとき適切な指示を出せるのが「良いリーダー」の一つの資質なのではないかと思います。メンバーに嫌われたくない、といういっときの感情で指示を変えられないというのはむしろ罪。「朝令暮改することをこわがらない」というマインドセットは、現代のリーダーにとってとても大事だと感じます。

※朝令暮改=朝出された命令が夜には改められてしまうこと。指示や方針がころころ変わること。

 
  • 1
  • 2